楠野さんの事だ。花火大会の日、自分が世界少女である事を僕に告げてそのまま消えて行った彼女。
 何故、突然外の惨劇が起き始めたのか。
「君―!」
 大きな声が突然、耳にこだまする。そこには自分より幾分か年を取っている二十代、三十代くらいの男性と、隣に男性とおなじくらいの女性がいた。
「こっちだ! 急げ!」
「……は、はい!」
 僕は急いで二人の方へ駆け出した。二人は僕が近づいてくるのを確認すると、横の道へ走り出した。僕は急いで後を追いかける。

 しばらく夢中で走り出した先にあったのは、ここ近辺の高台にあった避難所だった。僕は急いで中に入った後、僕を助けてくれた二人に感謝を伝える。
「ありがとうございます……」
「ふぅ……いいよ、君が家の前でうずくまっているのみたら、慌てて」
 シェルター内には僕と同じく避難してきたであろう人々がいた。結構な人数が許容できるシェルターをほとんど埋め尽くす勢いで。
 僕はこれを見て、今起きている事に現実感を覚えてきた。今、災害が起きている。……それは、世界の主と呼ばれる存在が起こしたのかもしれない。

 僕は避難所のフロントにいた。
 厳重に閉まっている扉から僅かな隙間から見える外はどうなっているのかわからない。多分外は今、激しい光とともに起きた破壊現象がこの状況を引き起こしているのだろう。そう考えると怖気がする。
 けれど、何故今なのだろう?
 この現象が起きるのは世界の主が力を制御できなかった時だ。ということは、力の暴走が早まった?
 という事は、楠野さんは? 一体今どうしているのか?
 一つの結論に達しそうになる。やっぱり、楠野さんはもうすぐ……、

 今の現象を止めるために命を捧げてしまったのか?