『世界少女の影響か? 各地で建造物倒壊』の記事タイトルだ。僕はスマートフォンを閉じると顔を上げて周りの景色を見回す。ここはさっきの地震で被害はあったけれど、まだ無事な方だ。問題はここもいつ安全になるかわからない。急いで避難しないといけないかもしれない。確か、この辺りは災害時に備えてのシェルターが作られていた筈で、僕も急いで避難しないといけない。
「けど……」
 いつまでも反応のない母が心配だった。そうだ、父にも大丈夫かの連絡をしないといけない。
『父さん、だいじょうぶ!?』
 メッセージを送った。けれど、なかなか既読が付かない事に焦る。だけど、幸いスマートフォンの上に表示される時計の数字が1分切り替わる前に既読が付いて返答がきた。
『大丈夫だ。今シェルターに避難している所だ』
『今、家の前にいるんだけど、家にいる筈の母さんが何も言わないんだ』
『なに言ってるんだ? 母さんは今、父さんの会社にいるぞ』
 それを見て唖然とする。
『ど、どういう事?』
『今日はちょっと父さん忘れ物してな……母さんに届けに来てもらったんだ。母さんお前の事、心配していたぞ』
 それを聞いて安心する。どうやら、僕が家を出た後に母さんは外に出ていたみたいだ。……もしかしたら、母さんは僕が外に出る直前にこの事を言っていたのかもしれない。どちらにしろ父さんと母さんが無事なのは安心した。
 すると、突然激しい光が目を包み込む。
 直後、大きな音がした。
 今度は近くで何かが爆発したみたいだ。僕も急いで避難しなければいけない。僕は何の迷いもなく安全な場所まで逃げ出そうとした。けれど、僕はここで足を踏み留める。
「楠野さんは……今、どうなっているんだろう」