「正直、私はあんたと美樹が一緒にいるのあまり快く思えない。彼女のためにあんたは行動できるの?」
 それは、
「できる」
 そうとしか答えられなかった。
「できると思う。わからないけど、できる」
 何言ってるのと片桐さんは茫然していた。まるで釈然としないと言いたいのか、顔を歪ませている。
「だから、この話は置いていて欲しい」
 僕ははっきりと彼女にそう答えた。それは僕なりの本心をはっきりと彼女に伝えた。
「……わかったわよ」
 そう言うと、彼女は折れたのかこの話は終わり、と言わんばかりに公園から出て行きはじめる。と思ったら足を止めてこう吐き捨てた。
「でも、美樹を傷つけたら、それこそ私、許さない」
 それは、自分でもわかっている。ただでさえ元気のない彼女を更に傷つけるのは自分でも許せない。だから、僕なりに元気付けようと思っている。そのために、彼女にはゆっくりと花火大会の事を決断していて欲しい。
 小さい子ども達の楽しそうな声が響く公園で僕はそう思った。

  *

 終業式に楠野さんから花火大会に行けるという連絡を聞いた。僕はそれを聞いて安心をした。もし彼女が行く気力もないと言ってしまったら、花火を見て元気付けようという目的を達成させる事なんて出来ない。そんな事を無理やりやるなんて無論、論外だ。
 それを聞いただけでも、本当に安心出来る事だった。
 ただ、僕はその後に本当に大丈夫かと聞いてきた。
「大丈夫だよ。ちょっとヘンな事聞くよね」