開催場所はここを流れている『……川』でとのことで、開催時間は二十時からだそうだ。それから一時間程花火が連続で打ちあがっていくという。
「楠野さん、一緒に行ってくれるかな……」
 彼女を元気付けたいと思うが、楠野さんは果たして一緒に来てくれるのだろうか。
 僕はその不安を胸に抱いて、次の日になりかけるぐらいには眠れなかった。なんとか寝付け、知らぬまに朝を迎える。
「おはよう」
 そう言うと、母が「おはよう」と返してくる。
 僕はいつもの様に学校へ行くための支度をした後、朝食を食べ始まる。
 我が家の食卓で流れているテレビはいつもの様に朝のニュースをただ、流し続けていた。その合間で人気のタレントやアナウンサーの人がニュースに対してコメントを出したりとかしているけれど、それだけだ。
『次のニュースをお伝えします。本日、政府は世界少女に関する……』
 不意にそのニュースが流れてきた。一瞬時間が止まったかと思うぐらいだった。
『世界少女』
 その単語が、テレビのニュースに流れてきたのは驚きだった。むしろ、今まで意識していなかったのかもしれない。一度聞いた事はあってもその時はなんだそれ、と流していたのかもしれない。
 けれど、最近はどうも『世界少女』という言葉に対し、頻繁に反応している気がする。理由は何だろう。あの時、見た本の目次……確か、『世界は「」で出来ている』という本だった気がする。
 その本を読んでいたのはたしか楠野さんだった。楠野さんが読んだ本に書かれていた事だから、なんとなく記憶に残ったのかもしれない。
 そして、次にそれを目にしたのは初めて二人で街を散策したあの日。