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6月、梅雨の時期になる。
教室で見ていても、彼女は一見様子が変わらない様に見える。
けれど、僕はなんとなく彼女がそう見せているだけなのだと思った。
僕は何故、彼女がそう見せているだけなのかと思うのはうまく言葉で説明できない。
だけど、僕にはわかる。
いくら、彼女が周りに心配させないように欺かせたとしても、僕にはわかる。
彼女は明らかに元気を失くしている。
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夜、僕はじっくりとあるチラシを眺めていた。
「花火大会……」
花火大会。そのチラシを見て、もう7月に入ったのだと思う。『……町花火大会 七月二十一日開催』という文字が書かれ、その文字を彩る様に花火の写真が貼られたそのチラシを見ていた。これは夕方家に帰ってきた時、親がポストに入っていたチラシや手紙等の処分をしていたのだけど、その中に入っていたこのチラシを見た僕は、好奇心で親に頼んで貰ったものだ。
これなら、彼女を元気付ける事ができるかもしれない。
単純な考えだが、それは僕の中では正解の一つかもしれない、と確信めいた事を思っていた。僕は目線をチラシの上に書かれた『……町花火大会 七月二十一日開催』の下の方に向ける。そこには開催場所と、時間帯。そして、注意事項が記載されている。これは、どの花火大会のチラシでも絶対あるものだと思う……けれど、僕は開催場所と時間帯に目を付ける。一体どこで開催されているかは言うまでもなく重要だ。そして、開催時間も同じ。以下同文というものだ。