確か今日は図書委員としての仕事があったはずだ。

　４限目の終わりを知らせるチャイムが鳴り、先生が授業を終わらせる事を告げる。そして、皆席から立って先生に礼をして解散すると、皆がそれぞれの昼休みを始める。
　人によっては一人で、人によっては２、３人程の友達と、人によっては教室から出て行って学校内のどこかへと行ってしまう人。３０人以上もいるクラスだから、皆がそれぞれの行動パターンで昼休みを過ごしている。
　そんな僕は、一人で急いで昼食を食べる。
　図書委員の仕事があるというのに、悠長にご飯を食べる時間なんてない。楠野さんはというと、もうすでに一人でご飯を食べている。かと思えば、食べ終わったのか机の上を片付けた後、すぐに教室から出ていく。
　教室から出ていく寸前、彼女は僕の方を向くと、笑顔で手を振ってくる。恐らく合図だろう。そして、すぐに出て行った。
　僕はその合図を確認すると、急いでご飯を食べ終えて、さっさと教室から立ち去って図書室へと行く。あの合図を送ったという事は先に鍵を貰って図書室を開けておいているはずだからだ。
　そして、その通り図書室はしっかりと開いており、中には楠野さんもいた。
「やっほー、待ってたよ」
「……それじゃ、図書委員の仕事早速始めよう」
　了解！　と敬礼のポーズをとる楠野さん。僕はそれを見て苦笑しつつ、そのまま二人で図書委員の仕事を始める。

　本の整理をしていると、なんだか考えをしてしまう。
　僕は昨日の観覧車に乗った時から、ずっと気になる事が何度もある。まず、『世界少女』という単語を聞いた楠野さんの様子だ。明らかにおかしかった。一体それはなんでか。
　楠野さんには何か、『世界少女』に関連があるのだろうか。……まさか。