「……それじゃ、今度の日曜日よろしくね!」
 流れる様に約束が決まってしまった。次いでにその際の集合場所が書かれた紙も渡された。この流れで断るのはとても厳しかった。どうしようと思う前にする事はもう完全に一つしかない。

 そうして、約束の日。僕は集合場所まで足を運んでいた。ある程度の荷物を持って楠野さんを待っていた。そんなタイミングでまさか、また遭遇するとは思いもしなかった。
「あんた……」
 片桐さんだ。どうもこちらの事を快く思っていないのがはっきり伝わる程の殺気に満ちた表情でこちらを睨み付けてきていた。
「何でこんなところにいるの?」
 楠野さんと待ち合わせしているだなんて言ったら間違いなく問い詰められるのは間違いなかった。それを回避したかった所だけど、
「お待たせ~!」
 このタイミングで楠野さんが来てしまった事が運の尽きだった。
「……」
「……あれ、筑音ちゃん?」
 きょとんとした動作を見せる楠野さんは今の状況がよくわかっていないのだろうなという事がなんとなく伝わる。
「あんた、どういうこと?」
 結局、片桐さんは僕に鬼の形相を向けて顔を近づけてくる。その顔は激怒の表情に満ちていて、恐ろしい。
「ちょ、ちょっと筑音ちゃんどうしたの?」
 流石の楠野さんも異常な状況に気づいたのか慌てて止めに入ってくる。
「美樹、何でこいつに構うのよ。最近、あんた達が付き合ってるって噂もあるのよ?」
 ……正直、その話を聞いた時は本当に? と疑った。
 まさか、僕たちが付き合っているだなんて噂誰が流されていたとは思いもしなかった。そんなに仲良く話し合っている様子を見られていたという事なのか?
「ああ、安曇くんとはそんな関係じゃないから大丈夫。あっ、そろそろ時間だから安曇くんいこ!」