ある日はよく読む作家の話、ある時はネットの動画投稿サイトに上げられた人気の動画の話。またある日は、SNSで話題になった事柄の話……といった様に非常に種類豊富な話題を彼女は持っていた。僕はそれを聞きつつ、気になったものは少しずつ自分で調べたりして、図書館での話し合いを重ねて行った。
 それは、とても他愛のない話かもしれない。好きな作家の話だったり、クラスメイトの話題になったり、最近のイベントだったり。そんな程度の話だった。けれど、僕はそれがとても特別な事だと感じていた。
 そんな日々を重ねて、ゴールデンウィークが終わった次の日だった。
「ゴールデンウィーク、どっか行った?」
 楠野さんは何気なくゴールデンウィークの終わりの定番を聞いてきた。
「ごめん、僕どこも行ってないや」
 なにがごめんよ~、と突っ込んできた。まあ、楠野さんがそう突っ込みたくのもわかるけどきっと彼女は何したのかが気になって聞いてきたのかと思うと、少し申し訳なさがある。
 僕は学校で話す友人はいても、一緒にどこかへ遊びに行く友人を持ってはいなかった。それは、単に自分のプライベートが大切だからといったそれだけの理由だ。そんな事を話していたら、誰からも誘われなくなっていた。
「そっか~……」
 楠野さんはそれだけ呟くと、何か閃いたと言わんばかりの満面の表情を浮かべると僕に向かって駆け出してきた。思わず後ずさりしかけたが、楠野さんが肩をがっちりと掴んできたのでそうはいかなかった。
「それじゃ今度の休み私の用事に付き合ってよ!」
「……え?」
 唐突だった。
 いきなり、楠野さんが誘ってきた事に驚いた。僕はこの時頭の中が真っ白になっていて、あまり具体的にどうするかを考える暇が無かった。結果、