少し急だったかなと反省もした。けれど、この微妙な空気を変えるのは自分の力じゃ厳しいというのもわかっていた。だから、そんな急な本の突き出ししかできなかったのだと後悔もあった。
 ……世界少女というものが存在するというのは僕でも知っている事だ。けれど、何故世界少女がこのような本に書かれているのかはあまり知らない。
「……変なの」
 楠野さんは不思議そうに呟いた。まあ、そう思うのも無理はないだろう。僕が同じ場面に遭遇したら、変だと思う。
 世界少女という単語を頭の中で何度か反芻する度に、僕は頭の中から振り払う。そんな事を気にしていては仕事にならないからだ。ただ、僕は気になった。何故、あんな事が書かれていたのか。
 図書委員の初仕事の日はこうして時間を潰していった。たまに本を借りる人がいたので、本を借りたという証を残す様に行われる貸出の準備を行った。それを済ませたら本を相手に渡したら終了だ。
 そうして、昼休みが終わる直前のチャイムが鳴った。
「それじゃ、図書室締めないと」
「そうだね」
 僕たちは図書室を締めるという話になった。当然、昼休みが終わる直前のチャイムがなったらそれまでに席に座らないといけない。僕たちも生徒なのでそれは簡単に言ってしまえばそうするのは当たり前の事なのだとしか言えない。
 そうして、図書室を締めて先生に鍵を渡しに職員室まで移動する事にした。
「それにしても、図書委員って昼休み中はずっといなきゃいけないんだよね~」
「……まあ、そんなにいないし何よりも週に1、2回ぐらいの頻度だから大丈夫だと思うけど」