「うん、どうしたの?」
 こちらこそ見てはいないが、しっかりと返事をしてくれた。その事に僕はホッとしつつも改めて気持ちを切り替えて、そのまま疑問をぶつけてみる。
「その本、何かな?」
「ああ、これ? ……はい」
 そう言って僕はそのまま閉じられた本を手渡される。その本は「世界は「」で出来ている」という題名だった。
「私、こういう世界とかが付く題名の本が気になるタイプなんだよね~」
 それは何だか変わっているな、と思いつつ僕は本を広げてみた。本に書かれた内容は世界が出来た考察……の様なもので、僕は題名からして小説か何かだと思っていたので、拍子抜けする思いでいっぱいだった。楠野さんはこういう本を読むのかな、とは思ったりしたがそこまで深く掘り下げる事でもない様なものだと思うので、敢えて聞かなかった。
 そうして、本を閉じようとした際に一瞬何か気になるワードが僕の視界に入ってきた。慌てて本をもう一度開く。そうしたら、その気になるワードの正体が露わになったのだ。
『世界少女は果たして必要なのか?』
 なんだこれ、と最初は思った。この本の目次に書いてあった事なのだけれど、他の目次は世界が生まれた経緯やら生物の紀元やらと他にもありそうな目次の題名が付けられていた中、『世界少女は果たして必要なのか?』という題名がとても浮いている様に思えた。
「どうしたの?」
「……ああっ、いやなんでもない」
 心配している様子だった楠野さんを安心させるために適当な言葉で返してしまった後に、本を突きだす。
「これ、ありがとう」
「……ううん、別にいいよ」