三人目との待ち合わせは、空港だった。

 羽田空港へ着く頃にはすっかり日は昇り、空は気持ちのいい秋晴れになっていた。台風の予報もない。飛行機は予定通り飛ぶだろう。

 月の塔へ向かう。相手からはすでに着いている旨の連絡があった。部活に来るのも早いやつだが、こういうときの集合もえらく早い。

 月の塔よりも先に、彼を見つけた。
 秀に近い体躯。色白で、短い黒髪と鋭い目つき。表情はほとんどない。生まれてこの方、あくびなんてしたこともなさそうな真面目な横顔。すらりと伸びた背筋。

「早いよ」
 私がそう声をかけると、佐島は私を見下ろして首を傾げた。

「そんなに早くないだろ。十五分前だ」

「連絡くれたの、三十分前じゃん」

「それくらいは普通だ。飛行機に乗るんだからな」

「搭乗手続きの分余裕は見てこの集合時間なんだけど?」

「早いにこしたことはない」
 すっぱり言い切られて、まあそれもそうかと思う。別にねちねち言い争うようなことでもない。

 保安検査場をクリアして、搭乗開始までしばらくロビーで時間を潰した後、私たちは飛行機に乗り込んだ。

 行き先は予定通り、沖縄。
 与那国島と呼ばれる、この国の最西端にある小さな島だ。