私は眉をひそめながら、ぱらぱらとページをめくった。私がすでに、和佳の記憶として知っていることもあるけれど、知らないことも多かった。
二月、三月とめくっていき、中学三年の卒業式の日で指が止まった。
【三月十日】
卒業式があった。高校も伊織・秀と一緒だし、なんかあんまり実感が湧かない。泣いたりもしなかった。
式の後、秀に付き合おうと言われた。付き合うってよくわからない。断ればよかったかな。でも、秀がすごく真剣だったし、秀と気まずくなるのは嫌だからOKしてしまった。伊織はどう思うんだろう。
私は下唇を噛みしめる。
和佳が迷いながらうなずいていたのは、私も覚えている。和佳の方は、最初から秀が好きだったわけじゃないんだろうと思う。
なんとなく、和佳は恋をしなさそうだった。他人に興味がなさそうだった。
二月、三月とめくっていき、中学三年の卒業式の日で指が止まった。
【三月十日】
卒業式があった。高校も伊織・秀と一緒だし、なんかあんまり実感が湧かない。泣いたりもしなかった。
式の後、秀に付き合おうと言われた。付き合うってよくわからない。断ればよかったかな。でも、秀がすごく真剣だったし、秀と気まずくなるのは嫌だからOKしてしまった。伊織はどう思うんだろう。
私は下唇を噛みしめる。
和佳が迷いながらうなずいていたのは、私も覚えている。和佳の方は、最初から秀が好きだったわけじゃないんだろうと思う。
なんとなく、和佳は恋をしなさそうだった。他人に興味がなさそうだった。