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1週間後に夏休みを控えた今日の天気は晴天。
まるで私の心みたいに、弾むように照り付ける陽光。
暑さなんて、全然気にならない。
夢、じゃないよね?
昨日から何度も自分の頬を捻って確認した。
両頬が真っ赤になって、お母さんから「なにしてんの?」って呆れられるくらいに、無様に腫れた頬を、朝からアイスノンで冷やしていたから、今度は頬がヒリヒリ痛い。
でも、でもさ。
頬が痛くなるくらい、腫れることくらい、なんでもない。
それが、昨日の事を現実だって知らしめてくれるなら。
私は何度だって、自らの頬を痛めつけよう。
そんな自虐的になってしまう位、夢みたいなことが現実に起こった。
ずっと、ずっと好きだったヒトから、告白されたんだ。
東条朔弥くん。
彼を初めて見たのは、高校の入学式。
張り出されたクラス分けの紙を右から左へと、自分の名前を探している時だった。
人込みの中を、目一杯背伸びしながら探すのに夢中だった私は、やっと自分の名前を見つけた途端、目の前の紙を指さして「あった!」と声を上げた。
そんな私とハモるように声を上げたのが、彼だったのだ。
短いけれど振り返った時に揺れた黒髪はサラサラで、日に透けるとほんの少しブラウンが覗く。
「……もしかして、同じクラス?」
まさか、見知らぬ相手から話しかけられるとは思わなくて。
一歩引くように彼から距離を取って、声を出さずに頷いた。
「じゃ、1年間よろしく」
私の態度に嫌な顔一つ見せずに、ニカッと白い歯を見せて笑った彼に、やっぱりまともに返すこともできなかった。
でも、彼の笑顔は、その日、緊張と不安で重たくなっていた私の心を一瞬で軽くした。
私の高校生活は、こうして幕を開けたのだ。