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ずっと好きだった子に、人生初の告白をした。

一目惚れだって言ったら、きっとみんな笑う。

そんなの小説や漫画やドラマの中だけだって、大笑いするに決まってる。

でも、本当に一目惚れだったんだ。

高校の入学式の日、クラス分けの紙を指さして、同じテンションで声を上げた。

同じ目線で目が合って、思わず声をかけたら、びっくりした顔をして一歩後ろへ下がったキミのその表情が、うちで飼ってるアメショーとそっくりで。

猫と同じレベルでって言ったら、きっと怒らせるだろうけど、その時の俺は、うちの猫そっくりで可愛いなって思ったんだ。

うちの猫、アメリカンショートヘアのグラウは、キレイな灰白色の毛並みの猫で、オリーブ色の瞳孔とピンッと立った耳がとても凛々しく見える。

高貴なお生まれって感じのお嬢様だ。

けれど、その実、めちゃくちゃお転婆で、甘え上手で、無茶苦茶可愛いやつ。

グラウという名前も俺が付けた。

ドイツ語で灰色って意味だ。

呼び名も意外と気に入っている。

スマホの待ち受けはもちろんグラウ一色で。

友達には猫が待ち受けかよって、馬鹿にされるけど、好きなものを待ち受けにして何が悪いって開き直っている。

中学の頃、家族でショッピングモールに行った時、たまたま通り過ぎたペットショップのガラス窓の向こうで、俺を呼んだグラウ。

一目惚れして、親に無理言って買ってもらった。

その代わり、世話はうちの誰よりもたくさんやっている。

トイレの砂の交換や、毛玉を吐き出しやすくするための草の準備とか、あちこちで吐きまくる片付けは俺が率先してやった。

だから、グラウは誰よりも俺に懐いている。

人や動物に限らず、一目惚れってのは絶対あるし、馬鹿にされるものではないと思っている。

そんな猫バカの俺が、初めて人間の異性に一目惚れした。

勿論、グラウとは違って相手は人だから、そう簡単に仲良くなれるわけではなかったけれど、1年の時のクラスは、いい方にも悪い方にもノリのいいクラスだったから、少しずつだけど、彼女とも気楽に話せるようになっていった。

結城はどちらかと言えば控えめなコで、自分よりも人の気持ちを優先してしまうようなことが多々あった。