私が考えていると、芹沢は口に出す。
「……茜はいつものように楽しく笑ってだろうな」
芹沢はそう呟きながら、静まり返ってからみんなは言う。
「そうだな。芹沢くんの言う通りだね」
「暁。茜が楽しく笑っているよ。ちゃんと」
「暁くん。茜ちゃんは、いつも楽しく変わらずみんなのことを見てるわよ」
天沢さん、海里くん、店長は、芹沢を励ますように答える。
「……私も、そう思います」
私は芹沢が立っている横で、密かに声を発した。
「そうだね」
天沢さんは優しい口調で私の思いを汲み取ってくれた。
「あ、そうだ。今日もしかして、茜ちゃんの誕生日じゃない?」
「……そうだね」
天沢さんは携帯のロック画面を開いてから、カレンダーを見ていた。
視力がいいので、天沢さんの携帯が見えた。そこには茜の誕生日が書いてあった。
「……茜の誕生日」
芹沢は口に出して、呆然とどこかを見つめている。
「茜の誕生日か。茜が生きてたら、俺と同じ一六歳になってたんだ」
海里くんがそう言った瞬間、店長は海里くんの背中を叩いていた。
海里くんは周りを見渡して、気まずい空気になっていたことを察して、ごめんと謝っていた。
「……海里は……悪くないよ。海里と同じように生きてたらとは考える。だから素直に茜ちゃんの誕生日祝おう」
芹沢は海里に優しく声をかけた。
海里くんは黙り込んで、芹沢を見ていた。