そう言って、芹沢は頭を下にしていた。
「……なんで、なんでそんなこと思うの。じゃあ、茜の気持ちは? もう亡くなったから、分からないよね、私達は。でも、私達はちゃんと生きてる。生きてるんだよ」
「…どうしたんだよ」
「……ゴメン。何でもない」
「…っ、お前こそ、何泣いてんだよ」
「ただ、泣きたくなっただけ」
私は目頭に、涙を浮かべていた。
「……芹沢はただ誰かと分かり合いたいんでしょ」
私は目に涙を浮かべて、手で拭う。
芹沢は目を丸くして、私を見てくる。
「……違う」
「芹沢が認めたくないだけ。芹沢は海里くんや茜、天沢さんとは仲良くしているけど、それは自分の居場所がないと思ってるんでしょう」
「違う、違う」
「居場所がないと思うのは、茜のこと。それか彼女の立場の茜のこと?」
「な、なんで。それを」
「わかるよ。話を聞いてれば。海里くんには言ってなかったんだよね」
「ああ、そうだ。海里には言わなかったが、俺は茜と中一から付き合っていた。幼い頃から好きで好きで。でも、敵わないって思っていた。けど、茜が誰かに告白するのを見て、いてもたってもいられず、その場で言ったんだ。そしたら、いいよ、暁ならって」