どこかで車のクラクションが鳴り響いていた。クラクションが収まった後、芹沢の横を車がゆっくりと通り過ぎていた。
何回だろうか信号が変わって、ずっと私達は立ちつくしている。
「…濡れたな。どこかで休むか」
芹沢はやっと声に出して、私に話しかけてきた。
「……そうね」
私は返事をすると、芹沢は青信号に変わった時、ゆっくりと私を振り返って言った。
「……行くぞ」
小さな声で私を見て、前を進んで歩き始めた。私は芹沢についていた。
すると、着いたのは、まさかの銭湯。
「え? なんで。銭湯」
私は目の前にある銭湯に驚いた。
芹沢は私を見て、ただ思っていることを声を発した。
「濡れてるから、銭湯に入った方が早くない?」
私は芹沢の言うことは正しいが、一応私女子なんですけど。
「……女の子には、いろいろ準備があるんだよ。知ってる?」
「……大丈夫だろ。服乾かせば」
芹沢の言葉にイラっとしながらも、私は何も言わずに銭湯に行って、早く濡れた服を乾かしたかったこともあり、私は銭湯に向かった。
数時間後
芹沢と私は女と男湯の端っこにベンチがあったので、二人は座った。
乾いた服を着ながら、私達は黙っていた。
私が言おうとした瞬間、芹沢は口にする。
「俺は、ただ茜の自殺の件から死ぬ時が分かることになっただけで、一向に変わりばえのしない生活を送っていく中で、俺は生きている心地がしなかったんだ」
芹沢は髪をタオルに両手で持ち、髪を乾かしながら私に言う。
そして、濡れたタオルを足元に置き、私を見据えた。
「…生きている心地って、どういうこと?」
「分からない。だけど、生きる意味が見出せないんだ。何も」