紅茶を飲んで、少しスッキリした私は海里くんに聞いた。
「……海里くんも茜の自殺以来から、変わったことあるの?」
天沢さんは和歌ちゃん、それはと言って、海里くんは天沢さんの肩にポンと置いて、いいからと声を発した。
「…いいよ。茜の関係者なら話してもいいと思うんだ。いい?天沢さん」
「…海里くんがいいなら、いいけど。大丈夫?」
天沢さんは心配そうに、海里くんを見ていた。
「大丈夫だよ」
海里くんは笑顔で天沢さんに返事をした。
天沢さんは海里くんの表情で安心したのか、そうと優しく微笑んでいた。
「僕も暁と同じで、茜の自殺以来、人の心が読めるようになったんだ。だから、学校も行けなくなった。行く度に、クラスメイト・先生の言葉が悪いことや良いことが分かりたくなくても、分かってしまうから、学校へは行ってないんだ。あとは、茜を傷つけた奴のことを信用した人らにムカついたんだけどね。和歌さんの心の中ははっきりしていて、一緒にいて落ちつくよ」
私は海里くんを見た。もう諦めたかのようにはっきりと私に伝えてくる。
今まで、どんな苦労をしてきたのだろう。
「苦労はそんなしてないよ。ただ、気づいたうちになっていただけ」
初めて心を読み取られた。
会った時から、多分私の心の中の一部始終を読み取っていたんだ。
だけど、口にはしなかった。
初めて声を出して回答を言ってくれたということは、少しは信頼してくれているのかと思う。
「海里くん、もうこんな時間だよ。お店は大丈夫かな?」
天沢さんは、左手首にしている腕時計を見て海里くんに言う。
「だね、見てくるよ。もう一七時か。暁一人にずっとさせておくにはいけないしな。和歌さんはさっきに帰っていていいよ。初日で疲れたでしょ。暁にはうまくいっておくから。また、明日ね。和歌さん」