暁は天沢先生に向かって、嘘をつくことなく淡々と真面目に言った。

「芹沢。社会人である俺のせいでもあるんだ。だから、俺は俺なりにケジメをつけるよ」

天沢先生はそう言ってから、僕達に優しい言葉を話しかけてくれた。

先生として話すのは、これで最後になるとは思わなかった。

「……お前ら、次こそは後悔しないように行動しろよ」

そう言って、天沢先生は帰っていた。

僕達は、受付に茜の場所を聞き出して、茜がいる部屋に向かった。

一二五号室

「茜!」

僕達は茜を呼ぶと、茜の母親が亡くなった茜を見て泣いていた。
そこでようやく、茜が亡くなったことに気づいた。本当にこの世にいなくなったことを。

茜の母親は僕達が来たことに分かったのか、僕たちを呼んだ。

「暁くん、海里くん。この子と一緒に遊んだり話したりしてくれて。いつもあの子、あなた達の話をしてくれたのよ。ありがとうね」

「茜の母さん。茜が亡くなった原因は聞かれましたか」

「おい、暁」

「……天沢先生から聞いたわ。あの子は苦しんでいたこと全然知らなかった。あの子いつも笑顔だったから……なんで家族に心配かけないように無理していたのよ。真実は天沢先生から聞いて、まだ整理はつかないけど。知れて良かったと思うよ」

茜の母さんは涙を流しながら、僕達に言った。茜の母さんは、茜と最後の話をしていいわよ。

私は席を立つからと言って、どこかに行ってしまった。

僕達は亡くなった茜を呆然と見つめた。

「茜、茜ーー!」

僕達は、亡くなった茜を抱きしめて、ただ名前を言って何時間も叫んだことか。

そのあと、茜の母さんが来て、ただ一言。

ありがとうと言って僕達を見送ってくれた。

そこから葬式、学校での報告と手続きなど茜の母さんは泣かないでやることをしていた。