一五分後
一本のバスで、大学病院に着いた。
自動ドアを抜けると、天沢先生が柱の前で立っていた。
「お前ら……」
「天沢先生、茜は無事なんですか。無事ですよね。ねぇ、天沢先生!」
「天沢。答えろよ!」
僕と暁は周りに人がいるのに、大きい声で天沢先生に聞いた。
天沢先生は腕を組み、下に俯いて小さい声で言った。
「……さっき、亡くなった…よ」
天沢先生の言葉に僕達は、頭がついていけなかった。
僕はカバンの持ち、手を強く握りしめて、言葉を失った。
暁も何も言わなくなった。
「…うな、訳ないよな。天沢、本当なのか。茜が亡くなったのは」
暁は天沢先生を見た。茜が亡くなったのは、嘘だと思いたいから。
「……本当だ。先生と直接話をして聞いた話だ。親御さんは、水沢が亡くなる前に会って、数分後に亡くなった。これは、事実なんだ」
天沢先生は、僕達をきちんと目で見て言った。
本当のことなんだ、本当のこと。
僕達は、何もできなかった。出来なかったんだ。
「暁、海里。先生が悪い。水沢をここまで苦しんでいたのに、何もすることができなかった。先生が屋上なんかに連れてきたのが悪かった。本当にごめん」
僕と暁は天沢先生と向き合って、言われた。
僕達は、何も言えない。茜に何もできなかったから。
「……天沢。お前は悪くない。ただ、茜が限界だってことだけだ。それでたまたま天沢はその日と重なっただけ。だから、何も悪くない」