「茜!」

僕は茜を呼んだ。
なんで、あんな所に立っているんだ。

「水沢さん」

「茜っ!」

天沢先生は、すぐに茜のとこに駆け寄っていた。暁も駆け足で茜の元へ向かっていた。

僕はただ呆然と屋上のドアの近くで立っていた。

「来ないで!」

茜はいつもよりやつれている気がした。
長髪が少しボサボサになり、目を赤くして僕達を茜は後ろを振り返り見ていた。

「茜! お前何してんだ」

暁はいつもより声を荒げていた。

「……暁には、いつも表情は変わらないけど、私が不得意な勉強を文句言いながらも、教えてくれたり、一緒に帰ってくれてほんと楽しかった」

茜はニコッと微笑んでいた。
それは、いつも以上に笑顔な茜が気にかかる。
暁は茜と呼び続けていた。

「水沢! 俺はお前に話があるから、呼んだんだ。だから、話をしよう」

暁が叫ぶ中、天沢先生は大きい声で戸惑いなく発した。

自分のデスクで寝ていた本人と違く、まっすぐに茜と向き合うとしている。

「ありがとう、先生。ほんと、嬉しかった。だけど、もう限界なんです。私はあの状態を2週間耐えたんです。もう…限界です」

茜は、うっうっと目をこすりながらも、泣いていた。

僕はそんな姿を見て、なんで僕たちは何もできなかったのか。なんで早く僕たちは行動しなかったのだろうと後悔が心の中で残る。

天沢先生が何かを言おうとした瞬間、僕は叫んだ。