天沢先生が暁に抱きつこうとしているのを天沢先生の頭をぐっーと右手で押して、阻止しようとしていた。
「…いってて。うん、そうだよ。俺は絶対君達が来ると思って、待ってたんだよ」
天沢先生は、どこまで僕たちを把握しているんだろう。天沢先生は頬杖をついて僕達を見てくる。
「じゃあ、行きましょう」
僕はそう言って、天沢先生と暁で屋上にいる茜の所へ向かった。
まさか、そこで見た茜が最後になるとは、この時誰も知らない。
「天沢。ここに茜がいるんで間違い無いよな」
暁は、天沢先生を呼び捨てにした。さっきまでは、先生とつけていたのに。
まあ、天沢先生のあの顔は、生徒でも見たことの無い表情をしていた。
あんな表情するには、経験したことがあることを示している。
切なくて何かを憎んでいるような目をしていた。
「暁。先生をつけろよ」
僕は暁に苦笑いしながら、言った。
「ふん」
僕がそう言うと、暁はそっぽを向いていた。
あんな顔を見たからか、それとも天沢先生の言葉に何かを突き刺さったのかもしれない。
「いいよ、海里くん。照れ屋さんだからね」
天沢先生は、クスッと笑っていた。屋上に着いたので、天沢先生がドアを開いた。
ガチャ
すると、そこには茜が真ん中に立ち、まっすぐ下を見ていた。