「…教室から出たら、お前が茜のクラスでボーと立っていた。何があったのか?」

芹沢は多分一部始終を見ていたんだ。

「暁。見てたの?茜が何かを言われてる所」

「……少し。茜はなんであんな奴に言われてんだ」

「分からないよ。理由はわからない。だけど、茜は悪くない」

僕はそう言ってから、暁は優しく言った。

今でも覚えてる。

「…茜と話そう。いつも朝一緒に登校しているけど、本当のこと話してはくれない。ただ、笑うだけ。お昼話を聞いてみよう」

「だけど、お昼休みは天沢先生と話をするみたいだよ」

「…そこに行けばいいんだろう。話は別に俺達に聞かれたくない内容ではないだろう」

暁はそう言ったが、僕達に聞かれたくないこともあると思う。僕達は、中学生で思春期。

女の子なら、話したくない内容はあるはずだ。

お昼、僕達は話を聞く為に天沢先生がいると思われる職員室に向かった。

「……いない。どこに行ったんだ」

僕と暁は職員室に向かったが、天沢先生はいなかった。

それを見かねた若い女性教師が話しかけてきた。

「どうした? 誰に用かな?」

若い女性教師は、僕達に聞いてきた。

「天沢先生、いますか?」

僕達は、天沢先生がいるかどうか確認した。

「…あ、いたわよ」

若い女性教師は、天沢先生がいるデスクを指をさして言った。

「あ、いた」

僕は天沢先生がいることを確認して、声を出した。
天沢先生は、デスクに突っ伏していた。