すると、茜のクラスメイトが話しかけられた。

僕はイギリスと日本のハーフで、金髪だったからかみんなにチヤホヤされた。
昔の僕にとっては、別に嫌じゃなかった。

みんなが僕を見てくれるから。

「茜より、私と帰らない? 毎週帰っているから、たまには私と帰ろうよ」

「ゴメンね。僕達、この日だけは唯一三人で帰る日だから」

僕はそう言って、自分の席に座っている茜は、僕を見つめていた。僕は手をちょいちょいと来て大丈夫だよ、来てと合図した。

茜は立ち上がり、僕の元へ来た。

「じゃあ、そういうことだから。じゃあね」

僕はいつも通り女の子をかわしたあと、ブゥブゥと携帯のバイブ音が鳴った。

僕は携帯を開くと、暁からきていた。

「あ、暁からだ。少し遅れるって」

僕は携帯を弄りながら、茜に言った。

「そうなんだ。じゃあ、さっき行ってようか」

茜は僕を見つめて、僕より歩き始めた。

その姿は、どこか切なくて輝かしく見えたんだ、この時は。
でも、それからだった。茜がだんだん弱っていくのを。

一週間後

「茜。これお願い。数学の宿題」

茜は週に一回、美咲は茜に頼むようになっていた。美咲は茜にからかいながら、茜に苦しい言葉を投げかけた。 
                 
僕は滅多に休み時間には、茜の所へ行く用事がない限り行かないが、たまたま次の授業で使う辞書を借りに茜のクラスにやってきた。

「あ、茜……」

僕は茜を呼ぼうとした時、見てしまったんだ。友達の美咲は、茜にキツイことを言っている風景を。