「…そうだよ」
海里くんはまた顔をそっぽ向けて、天沢さんに返事をしていた。
天沢さんと話すと、高校生だということが目に見えて、安心した。
天沢さんが端っこに座り、私の隣には海里くん。私は天沢さんと向かい合う形で座った。
そして、本題へ。
「…うん。単刀直入に言うと、和歌さんは茜のいとこなんだ」
まず、海里くんが声を発してくれた。
「……そうなのか」
海里くんが言った言葉に、天沢さんは目を丸くした。そして、私を見てきた。
「それで、今日和歌さんと話しをして、茜といとこだという事が判明した。だから、急遽海喫茶店の仕事を抜け出してきた訳だ」
海里くんは真剣な顔で天沢さんに説明した。
「え? 大丈夫なの、抜け出してきて」
「大丈夫。この時間帯はあまり人こないから。暁だけで問題ないよ。なんかあったら、連絡してくるから」
海里くんはニコッといつもの笑顔で天沢さんに言う。それを聞いた天沢さんは、ほっとした様子であった。
「それなら、いいけど」
「うん、本題に戻るよ。和歌さん。今聞いたことは暁にも言わないで。胸の中にしまっておいてくれる? 暁に今この話すると、体調が悪くなるだけだから」
海里くんは私にテーブルに両手を置いて、ゆっくりと下から私を見て言った。
「…分かった。芹沢には言わない。ただ、芹沢と海里くん。そして、天沢さんは茜の死について何を知っているんですか?」
私は二人を交互に見据えた。それが知りたいんだ。
私は茜が死んだのは、学校で人間関係がうまくいかなくて、自殺したと聞いていた。だけど、それが違う理由だということは、海里くんの話でわかった。