「……あの時は挨拶せず、帰ってしまい申し訳なかったです。今は大丈夫です。ご心配お掛けしました」
私はニコッと笑顔で微笑んだ。だけど、これは本当の笑顔じゃない。
「そっか。なら、よかった」
天沢さんは目を大きくしてから、目を細めて微笑んでいた。
「…ねぇ、僕いるからね。忘れないでよ」
海里くんは私と天沢さんの間にいたので、話を終わったと思い、声を発した。
「忘れてないよ。海里、ここに来たってことは、水沢の話かい」
「なんで」
「そりゃ、わかるよ。いつもここに来る時は、水沢の話でしょ」
「……そんなこと、ないよ」
照れた様子で海里くんは、否定していたが、図星なんだろう。
「それで、なんで和歌ちゃんがいるのかな?あ、ちょっと待っててね。なんか飲み物用意するね」
そう言って、天沢さんはキッチンに立ち、用意してくれた。
用意しながらお湯を湧いているすきに、天沢さんは私たちにテーブル席に案内してくれた。
天沢さんは、何で私がいるのか不思議に思うだろう。
数分経つと、天沢さんは、海里くんと私の分のドリンクを持ってきてくれた。
カタっと、三人分のドリンクをテーブルに置いた。
天沢さんはコーヒー、私は紅茶、海里くんはカフェオレを一人一人に置いてから、天沢さんは聞いてきた。
「和歌ちゃんは、紅茶で大丈夫かな?」
「はい。大丈夫です」
「海里は、カフェオレだよな」