「…あ、いやなんでもない。ちょっと外出て、空気吸ってくる」

あれは幻だったのか。
芹沢があんなことを言うなんて。

私は休憩スペースで座って、一人呆然と座っていた。

すると、急に道を通っていた女の子が倒れた。

高校一年生だろうか。

新品の服を着ていて、少し幼さを感じさせる。

その女の子が私の目の前で倒れたのだ。

隣にいた友達は、暦、暦と何回も呼んでいた。

倒れた女の子の名前を呼んでいた。

近くでその姿を見ていた教師は、すぐに救急車を呼び、生徒に近づけないように生徒に大きい声で訴えている。

「…ここは通れないので、皆さんこっち側から通ってください」

先生方は協力して、生徒が見られないように声をかけていた。

大丈夫なのかな、あの女の子。でも、なんで私の目の前で。

そんなことを考えていると、私の前を通り過ぎていく男子生徒がこんなことを言っていた。

「あの噂、本当だったのかな」

「なにそれ」

「確か、今日聞いた話だけど。今日誰かが死ぬっていうことを知っていた人がいるみたいって噂になってる」 

男子生徒二人組が話をしながら、そんなわけねぇよなと言って、笑っていた。

そんなことある訳がない。

だけど、考えられるのは、ただ一つ。

芹沢暁だ。

私は先ほど話していた男性生徒一人に声をかけた。