「よし。これで大丈夫。じゃあ、近場にあるカフェでも行こう」
海里くんはいつものニコニコ顔で私に駆け寄ってきた。
「本当に海里くん、大丈夫なの? 芹沢、怒ってるよ」
私は恐る恐る海里くんを見て、言う。
「大丈夫だよ。じゃあ、本人に聞いてみる? 暁、僕たち、ちょっと出かけてくるけど大丈夫だよな。もう一六過ぎだし」
「……ああ、大丈夫だ。こいつが海里と出掛けるのはあまり気に食わないが、海里は海里なりに何かあるんだろう。一人で無理そうだったら、連絡するから、大丈夫だ」
芹沢は海里くんが絡むと、やけに優しい。
私だけだと、意地悪なのに。
その優しさも、茜と関係するのかもしれない。
これは私だけではなく、海里くん、芹沢の問題でもあるから。
「…ありがとう」
私は礼をして、芹沢にお礼を言った。
海里くんは手をグッと親指を立てて、私に合図してきた。
「さーて、じゃあ、僕達の行きつけカフェに行きますか。路地曲がって、すぐの所だから。行こう」
海里くんは私の手を引き、行きつけのカフェに連れていてくれた。
通る人が後ろを振り向き、海里くんのことを見ている。