「……ざんねーん、違いまーす。正解は教師でした!」
天沢さんはブブッーと言いながら、私に言った。
「…え? 教師?」
私は天沢さんに聞き返した。天沢さんを私はずっと見て、疑っていた。
それに気づいたのか天沢さんは私に声をかけた。
「ほんとだから。ちなみに、数学の高校教師」
そう言って、天沢さんは歯を見せてニッと笑っていた。
「…数学の教師!」
「そう。すごいびっくりしてるね」
「はい」
私は返事をしてから、口角をあげてクスッと笑みがこぼれた。それを見た天沢さんは頬杖をつきながら、私見ていた。
「…やっと、笑ったね」
「え?」
「…だって、全然笑ってなかっただろ」
私は無自覚だった。自分では笑っているつもりであった。知り合ったばかりの天沢さんに言われるとは。
「…私は笑っているつもりでした」
「俺には笑っているように見えなかった。逆に無理して、笑っているようにしか」
天沢さんは目を細めて、私を見てくる。
「…っ、なんで分かるんですか?」
「…それは…あ、その前になんか飲もう。飲みながら、話そう。話はそれからにしよう」
天沢さんはガタっと椅子から立ち上がり、台所へ行って、準備をしていた。
「和歌ちゃん。カフェオレとか飲める?」
「飲めます。大丈夫です」
「そっか。じゃあ、カフェオレにするね。待ってて」
天沢さんはジャーと水を入れて、沸かした。
お湯が沸いたらコップにお湯を入れて、カフェオレの袋を開けてお湯と混ぜ合わせた。