私は箸を持ちながら、静かに泣いていた。

「…どうしたの。和歌ちゃん」

おばあちゃんは、私が目から涙が流れているのを見て、天沢さんと笑顔で話しているのをやめて私を見て言った。

「…っ、ゴメン」

私は一言だけ二人に言って、椅子から立ち上がって何も持たずに、外に出た。

なんで、こんな惨めな思い。今までなかったのに。

私は一人でいいと思ったのに、誰かと食事することは幸せで温かいものだったなんて。

知らなかったんだ、私。

寂しいとか悲しいとこかじゃない。
誰かといることが、幸せな気持ちになるなんて。

私は猛ダッシュで走って、どこに行くあてもないのに走り続けた。

すると、いつの間にか昨日来た神社の側に着いていた。

私は目を右手で拭き取りながら、階段を登っていく。神社には、誰もいなかった。

昨日座ったベンチに腰をかけた。

雲ひとつない晴天を、顔を上にあげて、空を見上げていた。
空を見上げると、とても眩しかった。

眩しいほどの光を浴びるほど、心のモヤモヤが増えていく。

こんな想いをするなら、私はいなくて誰も悲しまないんじゃないかと思えた。

そんなことを思いながら、私は上を見て、目を瞑った。
何も何も考えたくない。

心の中で自分に問いかけていた。
誰かが呼んでいるような気がした。

和歌ちゃん、和歌ちゃん!
私は誰かの声で目が覚めた。

さっきまで、普通に座っていたのに。
なぜかベンチで寝ていた。

背中には、男性用の上着がかけられていた。