彼は冷たい目で睨むように、穏やかに笑顔で笑って、先生に言っていた。
「…っ、正解だ」
そう言ってから、先生は何も生徒に口出しはしなくなった。
彼のおかげだけど、私には何か引っかかった。私と同じ匂いがするような感じがする。
生きていることがどうでもいいような。
数学の授業も終わり、昼休みになった。
私は琴葉と武蔵で一緒に食堂でいつものカレーを食べてから、私は一人で屋上に向かった。
バンッと屋上の扉を開いた。
いつも誰もいないから、先生にバレなきゃ毎日のように来れる。
だって、ここは死に場所にふさわしいから。
私は毎日屋上のてっぺんに立ち、いつも死んでもいいように私の頭で想像して、私が死んだことを想像する。
だけど、死ねない。
死にたいのに死ねない。
死ねないのは、ただと怖いから。
私は座り込み、顔を俯いて膝を抱えて泣いていた。その時だった。あいつが来たのは。
「…また、なにやってるんですか。工藤さん」
私はゆっくりと顔を上げて、その声の主を私は知っていた。
「芹沢暁(せりざわあかつき)。なんで」
「いつもこの時間にあんたを見てた」
「なんで、芹沢が」
「…あんたとは同じ匂いがするんだ」
もしかして、私と同じことを考えている。
「どういうこと。私はあんたと同じってこと」
「そうさ、あんたは俺と同じ。だけど、あんたとは少し違う。一回死んだ俺とあんたとは」
はあ? 今何言った。死んだ?
「…何言ってんの、死んだとか」