察して!
そうおばあちゃんに心の中で訴えていると、男は声を発した。
「武野ばあちゃん、この子に俺のこと話した?」
男はそう言ってから、おばあちゃんに話しかけた。
その言葉を聞いて、わかったのか。
「そうだよね。健ちゃんとは初対面だよね。紹介するね。天沢健(あまさわけん)君。隣の家に住んでいて、仲良くしてもらってるんだよ」
隣の家に住んでるの。昨日来たばかりなのに、なんでこの男は分かったんだ。
私がおばあちゃんの孫って。
私はその男を警戒するかのように、おばあちゃんと話すのをジッーと見ていた。
おばあちゃんとその男が話すのを、木になった気分で傍観していた。
たわいのない話をしていたら、もうお昼になっていた。
「あ、もうお昼だわ。良かったら、うちで食べてかない?」
おばあちゃん! 何でこいつにお昼食べようとか誘うのよ。
最初は遠慮がちであったが、もう時は遅く、男はお邪魔しますと言って上がり込んでいた。
なんで!
私は自分の意思とは正反対に、男はおばあちゃんの家に上がり込み、リビングにある椅子に腰をかけていた。
おばあちゃんは、朝の食べたものを片付けるのを忘れて、あの男のためにいっぱい余っているお菓子がある他の部屋に行っていた。
私はあの男と二人きりで椅子に腰をかけている。
沈黙して、すでに一〇分経過している。
私は耐えきれなくなってきたので、沈黙を破ろうと口を開けようとした瞬間、男は発した。
「……この前はどうも」