私は遠慮がちに言うと、おばあちゃんはニコッと私に言う。
「いいから! 気分転換してきな」
おばあちゃんは優しい。何で、母さんはこんな人を嫌うのか分からない。
「わかった。じゃあ、出かけてくるね」
おばあちゃんには申し訳ないと思ったが、昨日のあの男が気になるので、調査をしたいと思った。
私は身支度を済ませて、おばあちゃんに行ってきますと伝えると、すぐ声は届いて、行ってらっしゃいと言われた。
行ってらっしゃいと言われる光景が広がっているのは、慣れていないからか戸惑ってしまう。
靴を履こうと玄関で座り込んでいたら、玄関前から声がした。
「武野ばあちゃん!」
そう言って、おばあちゃん家の玄関を勝手に開けてきた。
私は座っていたので、見下ろすように見たら、あの男だった。
「…え? なんで」
私はポカーンと男を見つめていた。
おばあちゃんは、はーいと返事をして、バタバタと玄関に向かっていた。
「やっぱり、武野ばあちゃんの孫だったか」
その男は、神社であった不思議な男だった。
おばあちゃんは私達のことを見ながら、言った。
「知り合い?」
「この前、偶然会っただけだよ」
私はおばあちゃんに言った。
それよりも、その男は、おばあちゃんとなんで知り合いなのだ。
「健ちゃん。どうしたんだい」
健ちゃん? 私は戸惑いながら、おばあちゃんの顔を見た。
「ん、どうしたの」
おばあちゃんは不思議そうに私を見てくる。