「工藤和歌さんね。よろしく。僕は海里。高校一年生。和歌さんより一つ下だけど、仲良くしてくださいね」

両目をクシャとしてから、歯が見えるほど私に微笑みかけた。

「…こちらこそ、よろしく」

海里くんから右手を出してきたので、笑顔で私の右手を出して握手をした。

事情があって学校が行けなくなっている。とてもこの子が何かに抱えているのなんて思えないほどに。

「あ、折角だから、ここでお茶飲んでいけばいいじゃない。もう開店するし。ねぇ、暁」

海里君が大きな瞳で芹沢の方を向いて訴えていた。

「…はぁ、分かったよ。お前も入んな。どうせ暇なんだろ」

ため息をしながら芹沢は、私に海喫茶店のドアを開けて、案内してくれた。