だって、そいつは
「…なに、黙ってみてんの」
「いや…だってね。なんでこんなところにいるの?芹沢」
芹沢はいつもの制服とは違い、白いワイシャツを着て、腰にはエプロンを付けていた。
目の前にあった海喫茶店の看板を店の前に置いていた。
「ここで働いているの?」
「…そうだけど。なに」
「いやいや、バイトってうちらの学校禁止だったよね」
芹沢は考えながら、私に平然と言ってくる。
「…そんなの気にしてたら、何もできないだろ」
芹沢はいつもの無表情で私に言ってくる。
「…暁! もう何してるの?」
そう言って出てきた男性は、芹沢と正反対に可愛い男の子だった。
肌もきれいで、髪は金髪で外国人の様に背が高く、声も透き通っていた。
「この人は?」
「…俺のクラスメイトの工藤和歌さん」
なにその紹介。まぁ、いいけど。確かに友達というわけではないし。
「…初めまして。工藤和歌です。こちらの方は」
芹沢は私の方を見てから、金髪男子の方を向き直して言った。
「この店の息子・海里(かいり)。今は事情があって、学校に行けてはいないが、いい奴だ」
あの芹沢が言わせる金髪男子は、一体どんな人なのだろうか。