「やっと食える……。疲れた」
計三時間にも及ぶ外出から帰宅し、二人で弁当を広げる。フーカは相変わらず、ご機嫌斜めだ。
「……」
「いい加減、機嫌直せよ。悪かったって」
「……ねぇ、私いくつに見える?」
急な質問に、伊都は戸惑った。
「いくつって……なんだ、身長のことか?」
「違うわよ」
「じゃあ、体重?」
「あなたに聞くわけないでしょ。違う、年齢よ」
「ああ、年齢か。そうだな、大体、十二歳か十三……」
「ぶっ飛ばすわよ」
「何でだよ! それくらいだろ、どう見たって」
「違うわよ! 私はっ……」
フーカは、バン!と机を叩き、伊都に顔を近づけた。
「いい? 今日から、私を二十歳だと思って接して」
「は? いやいや、無理あるだろ」
「思うだけでいいから! いいわね!」
「いや、無……」
「い、い、わ、ね!?」
「あ、はい……」
フーカのあまりの剣幕に、伊都は頷くしかなかった。この怒り方は、よくある子供扱いされて拗ねているとかいうレベルではない。
伊都が間違っているのだろうか。もしかして彼女は、こう見えて本当に二十歳なのだろうか。わからない。謎は深まるばかりであった。