翌日は始業式だった。体育館での校長の話も、教室での副担任の話も、全く頭に入ってこなかった。何故か担任の穂積が休みだったことも、気にならなかった。
伊都の頭の中は、フーカのことでいっぱいだったのだ。考えてもどうしようもないことはわかっている。しかし、忘れようとしても、気が付けば、いつも彼女のことが頭に浮かんでいるのだ。
自分にとって、彼女がどれだけ大きな存在だったのか、改めて思い知らされる。
「今日はこれで解散です」
副担任が言った。前は歓喜した午前中の解散も、今日はその気にはならなかった。早く帰っても、フーカがいないからだ。孤独の時間を過ごすのが憂鬱だった。おまけに今日は誠が休みだ。一緒に帰る友達もいない。
伊都は、席を立ってリュックを背負い、騒々しい教室を後にした。