その夜。フーカが寝静まった頃、伊都は携帯を開き、兄に向けてのメッセージを送ろうとしていた。
『久しぶり。俺の友達が兄貴に会いたいって言ってるんだけど、会ってくれないか?』
文章は数秒で打ったものの、なかなか送信のボタンを押すことが出来ないでいた。緊張する。長年会っていないと、たとえ家族であってもこういうことになるのだ。
「……いいや、押しちまえ」
伊都はメッセージを送ると、ベッドに潜り込んだ。好きな相手に送った訳でもないのに、ドキドキが止まらない。さすがにいきなり過ぎただろうか。突然、知りもしない人に会ってほしいだなんて。しかし、この文章以外思いつかなかったのだ。色々と考えすぎて、眠れない。伊都は頭を抱える。
通知音がなった。伊都ははね起きて、携帯の画面を見た。兄からの返信である。
『構わない。俺はいつでも大丈夫だ』
「え、いいの!?」
驚いた。まさか了承してくれるとは。伊都は戸惑いながらも、『ありがとう。こっちもいつでも大丈夫』と送った。
すると、また通知音がなり、スタンプが送られてきた。アニメ調のクマなのだが、顔だけ妙にリアルである。
「なんだこれ……」
いつの間にスタンプなど買ったのだろうか。家を出ていく前の兄は、無駄なことが嫌いで、何でも効率的に物事を進めようとする人だった。愛想とか雑談とか、そういったものは彼の「無駄なこと」の中に入っていたため、メッセージは送りあっても、こんなやり取りはしたことが無かった。ましてやスタンプを送ってくるなど、ありえなかった。
一体この数年で何があったというのだろう。今まで兄のことなど興味もなかった伊都だが、少し彼のことを知りたくなった。
『久しぶり。俺の友達が兄貴に会いたいって言ってるんだけど、会ってくれないか?』
文章は数秒で打ったものの、なかなか送信のボタンを押すことが出来ないでいた。緊張する。長年会っていないと、たとえ家族であってもこういうことになるのだ。
「……いいや、押しちまえ」
伊都はメッセージを送ると、ベッドに潜り込んだ。好きな相手に送った訳でもないのに、ドキドキが止まらない。さすがにいきなり過ぎただろうか。突然、知りもしない人に会ってほしいだなんて。しかし、この文章以外思いつかなかったのだ。色々と考えすぎて、眠れない。伊都は頭を抱える。
通知音がなった。伊都ははね起きて、携帯の画面を見た。兄からの返信である。
『構わない。俺はいつでも大丈夫だ』
「え、いいの!?」
驚いた。まさか了承してくれるとは。伊都は戸惑いながらも、『ありがとう。こっちもいつでも大丈夫』と送った。
すると、また通知音がなり、スタンプが送られてきた。アニメ調のクマなのだが、顔だけ妙にリアルである。
「なんだこれ……」
いつの間にスタンプなど買ったのだろうか。家を出ていく前の兄は、無駄なことが嫌いで、何でも効率的に物事を進めようとする人だった。愛想とか雑談とか、そういったものは彼の「無駄なこと」の中に入っていたため、メッセージは送りあっても、こんなやり取りはしたことが無かった。ましてやスタンプを送ってくるなど、ありえなかった。
一体この数年で何があったというのだろう。今まで兄のことなど興味もなかった伊都だが、少し彼のことを知りたくなった。