五月丘高校は某県の少し田舎にある男女共学の高校である。
五月丘高校がある、少し田舎の街とは、どれくらいの田舎街かというと、普通電車が1時間に1回、停車するぐらいとイメージして
いただくとありがたい。
駅前には一応、商店街が広がっているが、高校生の楽しく遊ぶ場所は少ない。それほどの規模である。
五月丘高校の受験の偏差値は某県の中でもトップクラスと高く、地元では進学校として名が通っていた。
京本刀祢(キョウモトトウヤ)と新垣心寧(アラガキココネ)は五月丘高校2年1組に通っている。
「刀祢、おはよう! 今日も朝から道場で稽古をしてきたの?」
「ああ、心寧か。毎朝の稽古は欠かせない。うちの家は剣術道場だからな」
「眠いと思うけど、朝から不機嫌な顔してないで、少しは笑ってみたら?」
「うるさい! これは元々の表情だ! 元々、不機嫌な顔なんだから仕方がないだろう!」
京本刀祢(キョウモトトウヤ)の家は風月流剣術という武術の道場を経営していて、五月丘高校のある地域では、少しは名の知られた名家である。
剣術家である両親は厳格な性格であり、剣術の訓練も、躾にも厳しかった。
長男公輝(ゴウキ)、次男剣斗(ケント)は両親の言うことには従順で、五月丘高校の卒業生である。
五月丘高校に在籍していた頃は、剣道部のエースであり部長を務めていた。
今は長男の公輝が父親の剣術道場の師範代となって、跡継ぎとして頑張っている。
次男剣斗は某県の大学へ進学し、大学でも剣道部に所属している。
そして、刀祢はというと―――帰宅部。
「刀祢が元々、不機嫌な顔なのは知ってるわよ。それでも朝ぐらいは笑顔でいようよ。」
「朝から理由もないのに、ヘラヘラと笑えるか。俺は眠いんだ。俺のことは放っておいてくれ」
「そうもいかないわよ。刀祢がそんな態度だから、クラスの皆が刀祢のことを怖がるのよ」
刀祢は中学生になる頃から両親に反発するようになった。躾の厳しい両親と意見が合わなかったのだ。
そのため、両親、長男公輝(ゴウキ)、次男剣斗(ケント)と性格の反りが合わず、常に刀祢は兄貴2人とぶつかっていた。
そのせいで、中学生の頃から、常に険しい顔が平素の顔になり、五月丘高校の教室の中でもクラスメイトは刀祢の笑顔を見たことがない。
「どうして毎日、心寧は俺に絡んでくるんだよ。俺のことなんて放っておけばいいだろう。毎朝、毎朝、よく飽きないな」
「毎朝、不機嫌な顔で登校してきて、クラスの席に着いたら、すぐに寝てしまう刀祢のせいでしょ。少しはクラスに馴染もうよ」
「俺のことは放っておいてくれ。俺は眠いんだ。寝かせてくれ。そんなに口うるさいと彼氏の1人もできないぞ」
同じクラスの刀祢と心寧のいつもの心温まる朝の挨拶である。心が温まりすぎて一触即発の雰囲気が漂う。
クラスの皆は心寧と刀祢の2人を放っておく。朝の恒例行事が始まったくらいにしか思っていない。
刀祢はクラスの異端者だ。目付きが鋭く、体格も良いので、クラスの皆から遠巻きに警戒されている存在である。
一方、心寧は刀祢とは反りが合わなく、喧嘩口調になってしまうが、他の生徒達には全く態度が違う。
「私は別に付き合いたい異性がいないだけです。刀祢が思っているよりもずっとモテるんだからね」
「心寧は早く彼氏でも作って、そいつの世話を焼いてくれ。そうすれば俺の世話なんて焼こうとしないだろう。早く彼氏を作れ」
「そんな、言い方ってないんじゃないの。まるで私がいらないお節介をしているみたいじゃない」
「その通りだろうが!」
心寧は優しく、明るく、折り目正しいので、皆から一目置かれるクラス委員長で、剣術少女として知られている。剣道部のエースを務めている。
きれいな眉、少し吊り上がった、クッキリ二重、涼し気な目元、きれいな鼻筋、ぷっくりと色気のある型の良い唇。色白できめ細かい肌が特徴的な小顔の美少女である。
常日頃は剣術美少女らしく、黒髪のストレートをスッキリと結って、ポニーテールにしている。
健康的な剣術美少女で、五月丘高校の中でも男子から人気も高く、月に1人は告白して惨敗しているという。
「2学期にもなってもまだクラスに馴染んでないのは刀祢だけよ。だから男友達も直哉だけじゃない。だから心配してるのよ」
「はあー、別に心寧の迷惑になってないだろう。俺のことは放っておいてくれ。頼むから毎朝、俺に話しかけてくるな。睡眠の邪魔だ」
とにかく、刀祢は口が悪く、険しい目付きが鋭い。いつも不機嫌な雰囲気を醸(かも)し出している。
それがなければ、クラスの皆も刀祢に対する評価を改めるほどの、素材は持っている。
細い眉、常に吊り上がった鋭い目元、切れ長の奥二重、シャープな鼻筋、薄い唇、小顔で端正な顔つきをしている。
目付きの鋭さ、態度の大きさ、黒髪のウルフカットの外見、いつもある眉間の皺、不機嫌な顔、無表情が全てを台無しにしている。
「こら、こら! 朝から痴話喧嘩してるんじゃないの! 本当に仲がいいわね」
クラスに登校してきた雨宮莉奈(アマミヤリナ)がおっとりとした顔で刀祢と心寧の仲裁に入る。
莉奈(リナ)は心寧の小学生からの親友で、刀祢のことも良く知っている。
いつも誰かの相談に乗ってあげる、クラスのお姉さん的な存在で、Eカップの豊満な胸は男子から人気が高く、クラスの生徒全員からの信頼も厚い。クラス全体をまとめられるカリスマ性を持っている美少女だ。
「だって刀祢ったら、朝から不機嫌な顔をしているから、私は注意していただけよ。莉奈、痴話喧嘩なんて言わないでよ。私は刀祢のことなんて全然、何とも思ってないから」
「はい、はい、そうやって毎朝、刀祢君に声をかけている、心寧を見て、私の心は穏やかになるわ。2人がもっと仲良くなってくれると私も嬉しいのだけれど」
「「無理!」」
意外と意見が合っている刀祢と心寧の2人である。こんな時だけは息がピッタリと合っているから、痴話喧嘩と言われてしまうことを2人は知らない。
心寧は刀祢のほうを振り向ていて、一言を付け加える。
「毎日、毎日、授業中は机に伏せて寝ないでね。先生から刀祢のこと頼まれてるんだから。きちんと授業は受けるのよ。公輝兄さんと剣斗兄さんは紳士なのに」
「あの2人は関係ねー! あの2人の話しを俺の前でするな!」
刀祢と長男公輝と次男剣斗との仲は最悪と言っていい。常に優秀であった兄2人と比べられることに刀祢はウンザリしていた。
風月流剣術道場の門下生である心寧は、2人の兄達のことを尊敬している。何かと言うと兄2人の名前をいう。
HRのチャイムがなる。一番後ろの中央の席に座っている、刀祢は鞄をどけて、顔を伏せて眠る準備に入る。
それを見た心寧は唇を尖らせるが、注意している暇がない。呆れたような寂しい顔をして自分の席に戻って行く。
「もう! 明日から構ってあげないんだから!」
無意識に心寧は呟いて自分の席に座った。
五月丘高校がある、少し田舎の街とは、どれくらいの田舎街かというと、普通電車が1時間に1回、停車するぐらいとイメージして
いただくとありがたい。
駅前には一応、商店街が広がっているが、高校生の楽しく遊ぶ場所は少ない。それほどの規模である。
五月丘高校の受験の偏差値は某県の中でもトップクラスと高く、地元では進学校として名が通っていた。
京本刀祢(キョウモトトウヤ)と新垣心寧(アラガキココネ)は五月丘高校2年1組に通っている。
「刀祢、おはよう! 今日も朝から道場で稽古をしてきたの?」
「ああ、心寧か。毎朝の稽古は欠かせない。うちの家は剣術道場だからな」
「眠いと思うけど、朝から不機嫌な顔してないで、少しは笑ってみたら?」
「うるさい! これは元々の表情だ! 元々、不機嫌な顔なんだから仕方がないだろう!」
京本刀祢(キョウモトトウヤ)の家は風月流剣術という武術の道場を経営していて、五月丘高校のある地域では、少しは名の知られた名家である。
剣術家である両親は厳格な性格であり、剣術の訓練も、躾にも厳しかった。
長男公輝(ゴウキ)、次男剣斗(ケント)は両親の言うことには従順で、五月丘高校の卒業生である。
五月丘高校に在籍していた頃は、剣道部のエースであり部長を務めていた。
今は長男の公輝が父親の剣術道場の師範代となって、跡継ぎとして頑張っている。
次男剣斗は某県の大学へ進学し、大学でも剣道部に所属している。
そして、刀祢はというと―――帰宅部。
「刀祢が元々、不機嫌な顔なのは知ってるわよ。それでも朝ぐらいは笑顔でいようよ。」
「朝から理由もないのに、ヘラヘラと笑えるか。俺は眠いんだ。俺のことは放っておいてくれ」
「そうもいかないわよ。刀祢がそんな態度だから、クラスの皆が刀祢のことを怖がるのよ」
刀祢は中学生になる頃から両親に反発するようになった。躾の厳しい両親と意見が合わなかったのだ。
そのため、両親、長男公輝(ゴウキ)、次男剣斗(ケント)と性格の反りが合わず、常に刀祢は兄貴2人とぶつかっていた。
そのせいで、中学生の頃から、常に険しい顔が平素の顔になり、五月丘高校の教室の中でもクラスメイトは刀祢の笑顔を見たことがない。
「どうして毎日、心寧は俺に絡んでくるんだよ。俺のことなんて放っておけばいいだろう。毎朝、毎朝、よく飽きないな」
「毎朝、不機嫌な顔で登校してきて、クラスの席に着いたら、すぐに寝てしまう刀祢のせいでしょ。少しはクラスに馴染もうよ」
「俺のことは放っておいてくれ。俺は眠いんだ。寝かせてくれ。そんなに口うるさいと彼氏の1人もできないぞ」
同じクラスの刀祢と心寧のいつもの心温まる朝の挨拶である。心が温まりすぎて一触即発の雰囲気が漂う。
クラスの皆は心寧と刀祢の2人を放っておく。朝の恒例行事が始まったくらいにしか思っていない。
刀祢はクラスの異端者だ。目付きが鋭く、体格も良いので、クラスの皆から遠巻きに警戒されている存在である。
一方、心寧は刀祢とは反りが合わなく、喧嘩口調になってしまうが、他の生徒達には全く態度が違う。
「私は別に付き合いたい異性がいないだけです。刀祢が思っているよりもずっとモテるんだからね」
「心寧は早く彼氏でも作って、そいつの世話を焼いてくれ。そうすれば俺の世話なんて焼こうとしないだろう。早く彼氏を作れ」
「そんな、言い方ってないんじゃないの。まるで私がいらないお節介をしているみたいじゃない」
「その通りだろうが!」
心寧は優しく、明るく、折り目正しいので、皆から一目置かれるクラス委員長で、剣術少女として知られている。剣道部のエースを務めている。
きれいな眉、少し吊り上がった、クッキリ二重、涼し気な目元、きれいな鼻筋、ぷっくりと色気のある型の良い唇。色白できめ細かい肌が特徴的な小顔の美少女である。
常日頃は剣術美少女らしく、黒髪のストレートをスッキリと結って、ポニーテールにしている。
健康的な剣術美少女で、五月丘高校の中でも男子から人気も高く、月に1人は告白して惨敗しているという。
「2学期にもなってもまだクラスに馴染んでないのは刀祢だけよ。だから男友達も直哉だけじゃない。だから心配してるのよ」
「はあー、別に心寧の迷惑になってないだろう。俺のことは放っておいてくれ。頼むから毎朝、俺に話しかけてくるな。睡眠の邪魔だ」
とにかく、刀祢は口が悪く、険しい目付きが鋭い。いつも不機嫌な雰囲気を醸(かも)し出している。
それがなければ、クラスの皆も刀祢に対する評価を改めるほどの、素材は持っている。
細い眉、常に吊り上がった鋭い目元、切れ長の奥二重、シャープな鼻筋、薄い唇、小顔で端正な顔つきをしている。
目付きの鋭さ、態度の大きさ、黒髪のウルフカットの外見、いつもある眉間の皺、不機嫌な顔、無表情が全てを台無しにしている。
「こら、こら! 朝から痴話喧嘩してるんじゃないの! 本当に仲がいいわね」
クラスに登校してきた雨宮莉奈(アマミヤリナ)がおっとりとした顔で刀祢と心寧の仲裁に入る。
莉奈(リナ)は心寧の小学生からの親友で、刀祢のことも良く知っている。
いつも誰かの相談に乗ってあげる、クラスのお姉さん的な存在で、Eカップの豊満な胸は男子から人気が高く、クラスの生徒全員からの信頼も厚い。クラス全体をまとめられるカリスマ性を持っている美少女だ。
「だって刀祢ったら、朝から不機嫌な顔をしているから、私は注意していただけよ。莉奈、痴話喧嘩なんて言わないでよ。私は刀祢のことなんて全然、何とも思ってないから」
「はい、はい、そうやって毎朝、刀祢君に声をかけている、心寧を見て、私の心は穏やかになるわ。2人がもっと仲良くなってくれると私も嬉しいのだけれど」
「「無理!」」
意外と意見が合っている刀祢と心寧の2人である。こんな時だけは息がピッタリと合っているから、痴話喧嘩と言われてしまうことを2人は知らない。
心寧は刀祢のほうを振り向ていて、一言を付け加える。
「毎日、毎日、授業中は机に伏せて寝ないでね。先生から刀祢のこと頼まれてるんだから。きちんと授業は受けるのよ。公輝兄さんと剣斗兄さんは紳士なのに」
「あの2人は関係ねー! あの2人の話しを俺の前でするな!」
刀祢と長男公輝と次男剣斗との仲は最悪と言っていい。常に優秀であった兄2人と比べられることに刀祢はウンザリしていた。
風月流剣術道場の門下生である心寧は、2人の兄達のことを尊敬している。何かと言うと兄2人の名前をいう。
HRのチャイムがなる。一番後ろの中央の席に座っている、刀祢は鞄をどけて、顔を伏せて眠る準備に入る。
それを見た心寧は唇を尖らせるが、注意している暇がない。呆れたような寂しい顔をして自分の席に戻って行く。
「もう! 明日から構ってあげないんだから!」
無意識に心寧は呟いて自分の席に座った。