愛理沙が家に来る前に、家のゴミを集めて45ℓの半透明のゴミ袋へ詰めて、アパートのゴミ置き場へ捨てる。ダイニングテーブルのゴミや、キッチンのゴミ、部屋に散らかっているゴミを集めるだけで一苦労だった。
それでもなんとか部屋から全てのゴミを追い出すことができた。
100均で雑巾を買ってきて、水道の水で雑巾を濡らして、白く埃が被っている部分を丁寧に拭いていく。
白く埃の被った所の全てを濡れ雑巾で拭いていく。これだけでもかなりの重労働だ。テーブルの上、洗面所、キッチン、トイレ、埃のある所はとにかく全て拭いていった。
そして段ボールの中から掃除機を取り出して、コンセントに電源を差して、コードを長く伸ばしてスイッチを入れて掃除機をかける。部屋の中が段ボールまみれなので、ゆっくりと丁寧に掃除機をかける。
ダイニングの床がきれいに光り出した。これで愛理沙を部屋の中へ入れることができる。
休日になる前の日は、夜遅くまで、ゴミ捨て、雑巾がけ、掃除機と格闘し、自分では一応は部屋全体をきれいにできたと自負している。明日の休日は愛理沙が部屋へ来るので緊張が走る。
今から段ボールの荷物をほどいている時間はない。段ボールはそのまま積み上げておけばよいだろう。
段ボールを部屋の隅へ積み上げて、ベッドの置いてある部屋にも少しスペースができた。
これで明日は乗り切ろう。おかげで毎日、日課にしている夕暮れの公園には間に合わなかった。
その日の夜に心配した愛理沙からLINEで連絡が入った。
学校から帰ってきてから掃除をしていたことを明かす。
《そんなに気合を入れて掃除をしなくてもいいのに。片付いていなかったら一緒に片付けするよ》
《ありがとう。まだ部屋の中は段ボールの荷物でいっぱいなんだ。一応は片付けたんだけどね》
《それは明日、私が部屋へ行ってから考えましょう。今度から公園に来れない時は連絡をちょうだいね》
《ああ、わかった。今日は公園に行けなくてゴメンな。明日の14時に公園で待ち合わせしよう》
今日は公園に行けなかったことで、愛理沙に心配をかけてしまった。明日の待ち合わせ時間はきちんと守ろう。目覚まし時計を12時に合わせて、ジャージの上下に着替えてベッドの中へ入る。
◇
昼の12時にアラームの通りに起きて、シャワールームで体と髪を洗って、髪を乾かす。もちろん歯もキッチリと磨いている。私服に着替えて公園まで歩いて行くと、待ち合わせ時間の30分前だというのに、愛理沙はブランコに座って待ってくれていた。
今日の愛理沙は上からMA-1を羽織って、薄緑色のニットのカットソーにダメージデニムを履いている。とても似合っている。
「あれ? 待ち合わせ時間は14時だったよね?」
「いいの。私が公園で風景を眺めていたかっただけだから。涼こそ早かったね。」
実は愛理沙との待ち合わせ時間まで、涼も公園から風景を眺めてまっているつもりだった。
「涼のアパートまで行こう」
愛理沙がワクワクした顔で微笑んでくる。そんなに良いアパートではないので恥ずかしい。
「それじゃあ、行こうか」
涼の家は公園から、もう少し坂を上った所にある小さなアパートだ。涼の部屋は2階の端にある。
愛理沙は少し重そうに大きな紙袋を持っている。
「その紙袋、俺が持つよ」
紙袋を愛理沙から受け取って、2人でゆっくりと坂を上がってアパートへ到着した。2階へ登って、部屋の前に到着すると、部屋の鍵を開けて涼が先に玄関の中へ入る。愛理沙は涼の後ろに続いて玄関へ入る。
ダイニングは段ボール積み上げられているだけで、小さなダイニングテーブルが置かれてきちんと整えられている。涼にはそう見える。
ベッドの置いてある部屋も段ボールが積まれているが、愛理沙が座るスペースは作られている。涼はそのつもりでいる。
部屋へ入るとダイニングテーブルの上に置いた紙袋の中からエプロンを取り出して、愛理沙がMA-1を脱いで、エプロンを付けて、ストレートロングの黒髪をゴムで結い留めてポニーテールにする。
ポニーテールにするときれいなうなじが見えて、涼をドキッとさせる。
「昨日、頑張って掃除したのは認めるけど、まだまだ掃除が甘いわね。後、段ボールの荷物を出さないと、いつまで経っても片付かないわ」
「それは、また今度するよ。愛理沙はゆっくりしてくれればいいから」
「私、お掃除と片付けが得意なの。昨日から楽しみにしていたの。やりがいがある部屋で期待どおり」
紙袋の中からは、あらゆる洗剤がテーブルの上に置かれる。最初から愛理沙は掃除をし直すつもりだったようだ。愛理沙が嬉しそうに準備を進めているので、邪魔をしてはいけない。
「涼、段ボールのフタを開けて、中身を確かめて。服などは自分でクローゼットへ片付けてね」
涼は段ボールの中を確かめて、愛理沙に段ボールの中身を報告する。愛理沙はその都度、置き場所を決めて、段ボールの中身を外へ置いていくように涼に指示する。涼は指示された通りに置いていく。
中身がなくなった段ボールは畳んで玄関に立てかけられていく。
愛理沙はポニーテールを揺らしながら、段ボールから出てきた食器をスポンジできれいに洗う。
涼は段ボールの中に入っていた、自分の洋服をクローゼットとタンスへ片付ける。
愛理沙の指示もそうだが、手さばきも器用で、手早い。食器は洗った後に手早く布巾で拭かれて、ダイニングの食器棚に並べられていく。
愛理沙の機嫌は絶好調のようだ。鼻歌まで歌っている。こんな嬉しそうな愛理沙を見たのは初めてだ。
「今日はどんどん片付けようね」
「ああ、今日は頑張ろう」
嬉しそうに愛理沙は涼を見て微笑みとこぼす。つられて涼も笑顔になる。
愛理沙が上機嫌であるなら、それで良い。今日は愛理沙に付き合うことに決めた。
それでもなんとか部屋から全てのゴミを追い出すことができた。
100均で雑巾を買ってきて、水道の水で雑巾を濡らして、白く埃が被っている部分を丁寧に拭いていく。
白く埃の被った所の全てを濡れ雑巾で拭いていく。これだけでもかなりの重労働だ。テーブルの上、洗面所、キッチン、トイレ、埃のある所はとにかく全て拭いていった。
そして段ボールの中から掃除機を取り出して、コンセントに電源を差して、コードを長く伸ばしてスイッチを入れて掃除機をかける。部屋の中が段ボールまみれなので、ゆっくりと丁寧に掃除機をかける。
ダイニングの床がきれいに光り出した。これで愛理沙を部屋の中へ入れることができる。
休日になる前の日は、夜遅くまで、ゴミ捨て、雑巾がけ、掃除機と格闘し、自分では一応は部屋全体をきれいにできたと自負している。明日の休日は愛理沙が部屋へ来るので緊張が走る。
今から段ボールの荷物をほどいている時間はない。段ボールはそのまま積み上げておけばよいだろう。
段ボールを部屋の隅へ積み上げて、ベッドの置いてある部屋にも少しスペースができた。
これで明日は乗り切ろう。おかげで毎日、日課にしている夕暮れの公園には間に合わなかった。
その日の夜に心配した愛理沙からLINEで連絡が入った。
学校から帰ってきてから掃除をしていたことを明かす。
《そんなに気合を入れて掃除をしなくてもいいのに。片付いていなかったら一緒に片付けするよ》
《ありがとう。まだ部屋の中は段ボールの荷物でいっぱいなんだ。一応は片付けたんだけどね》
《それは明日、私が部屋へ行ってから考えましょう。今度から公園に来れない時は連絡をちょうだいね》
《ああ、わかった。今日は公園に行けなくてゴメンな。明日の14時に公園で待ち合わせしよう》
今日は公園に行けなかったことで、愛理沙に心配をかけてしまった。明日の待ち合わせ時間はきちんと守ろう。目覚まし時計を12時に合わせて、ジャージの上下に着替えてベッドの中へ入る。
◇
昼の12時にアラームの通りに起きて、シャワールームで体と髪を洗って、髪を乾かす。もちろん歯もキッチリと磨いている。私服に着替えて公園まで歩いて行くと、待ち合わせ時間の30分前だというのに、愛理沙はブランコに座って待ってくれていた。
今日の愛理沙は上からMA-1を羽織って、薄緑色のニットのカットソーにダメージデニムを履いている。とても似合っている。
「あれ? 待ち合わせ時間は14時だったよね?」
「いいの。私が公園で風景を眺めていたかっただけだから。涼こそ早かったね。」
実は愛理沙との待ち合わせ時間まで、涼も公園から風景を眺めてまっているつもりだった。
「涼のアパートまで行こう」
愛理沙がワクワクした顔で微笑んでくる。そんなに良いアパートではないので恥ずかしい。
「それじゃあ、行こうか」
涼の家は公園から、もう少し坂を上った所にある小さなアパートだ。涼の部屋は2階の端にある。
愛理沙は少し重そうに大きな紙袋を持っている。
「その紙袋、俺が持つよ」
紙袋を愛理沙から受け取って、2人でゆっくりと坂を上がってアパートへ到着した。2階へ登って、部屋の前に到着すると、部屋の鍵を開けて涼が先に玄関の中へ入る。愛理沙は涼の後ろに続いて玄関へ入る。
ダイニングは段ボール積み上げられているだけで、小さなダイニングテーブルが置かれてきちんと整えられている。涼にはそう見える。
ベッドの置いてある部屋も段ボールが積まれているが、愛理沙が座るスペースは作られている。涼はそのつもりでいる。
部屋へ入るとダイニングテーブルの上に置いた紙袋の中からエプロンを取り出して、愛理沙がMA-1を脱いで、エプロンを付けて、ストレートロングの黒髪をゴムで結い留めてポニーテールにする。
ポニーテールにするときれいなうなじが見えて、涼をドキッとさせる。
「昨日、頑張って掃除したのは認めるけど、まだまだ掃除が甘いわね。後、段ボールの荷物を出さないと、いつまで経っても片付かないわ」
「それは、また今度するよ。愛理沙はゆっくりしてくれればいいから」
「私、お掃除と片付けが得意なの。昨日から楽しみにしていたの。やりがいがある部屋で期待どおり」
紙袋の中からは、あらゆる洗剤がテーブルの上に置かれる。最初から愛理沙は掃除をし直すつもりだったようだ。愛理沙が嬉しそうに準備を進めているので、邪魔をしてはいけない。
「涼、段ボールのフタを開けて、中身を確かめて。服などは自分でクローゼットへ片付けてね」
涼は段ボールの中を確かめて、愛理沙に段ボールの中身を報告する。愛理沙はその都度、置き場所を決めて、段ボールの中身を外へ置いていくように涼に指示する。涼は指示された通りに置いていく。
中身がなくなった段ボールは畳んで玄関に立てかけられていく。
愛理沙はポニーテールを揺らしながら、段ボールから出てきた食器をスポンジできれいに洗う。
涼は段ボールの中に入っていた、自分の洋服をクローゼットとタンスへ片付ける。
愛理沙の指示もそうだが、手さばきも器用で、手早い。食器は洗った後に手早く布巾で拭かれて、ダイニングの食器棚に並べられていく。
愛理沙の機嫌は絶好調のようだ。鼻歌まで歌っている。こんな嬉しそうな愛理沙を見たのは初めてだ。
「今日はどんどん片付けようね」
「ああ、今日は頑張ろう」
嬉しそうに愛理沙は涼を見て微笑みとこぼす。つられて涼も笑顔になる。
愛理沙が上機嫌であるなら、それで良い。今日は愛理沙に付き合うことに決めた。