愛理沙がアパートに帰ってきてから、2人でずっと抱き合って、朝までキスしていたので、涼も愛理沙もほとんど寝ていなく、寝不足気味だ。
昼休憩になって聖香の誘いで、愛理沙、聖香、涼、湊の4名でお弁当を食べることになった。
なぜか、湊と聖香も寝不足のようで欠伸を何回もしている。
「昨日は湊と朝まで長電話しちゃってさー……愛理沙と涼のおかげで恋愛について深く考えちゃったよ」
聖香がそんなことを欠伸をしながら言ってくる。
朝まで聖香の恋愛相談に乗ってやっていたのか……湊もマメな男だと涼は感心する。
聖香のことが好きだから、湊は幸せな一時を噛みしめていたに違いない。
「湊とも話し合っただけど……私達も涼と愛理沙を見習って、仮彼女、仮彼氏から練習したほうがいいかなっていうことになって、今日から湊と私は仮のカップルとして恋愛を練習することになったの」
思わず涼は食べていたお弁当を噴き出しそうになった。
愛理沙は聖香の答えを聞いて、心配そうに涼の顔を見ている。
湊はうんうんと大きく頷いて、大満足そうな微笑みを浮かべている。
聖香は難問が解けたような爽快な笑顔で、涼と愛理沙を見ている。
なぜ、カップルではなく、仮が必要だったのか、意味はわからないが、湊が上手く聖香を誘導したのだろう。
こういう時、頭の回転の良い湊が発案したに違いない。
聖香もノリノリのようなので、ここは素直にお祝いしてあげたほうが良いだろう。
「おめでとう。湊、聖香。早く仮カップルから正式なカップルになれればいいな」
「え! そういう意味だったの? 仮カップルって、新しい彼氏ができたら解消するものじゃないの?」
聖香はどうも大きな誤解をしていたようだ。湊としては既成事実だけでも作っておこうとしたに違いない。
「仮カップルというのは正式なカップルになる前の準備みたいなもんだよ。だから聖香は湊とカップルになるんだ」
「へえーそうなんだ。決まっちゃったものは仕方ないかなー。湊もイケメンだし、頭の回転もいいし、女子からも人気が高いし……優良株よね……私ってお買い得したのかな? 私は湊でいいよ。しばらく湊で様子を見る」
考えがずいぶん軽いな。そんなに彼氏が欲しかったのか?
湊を見ると、もう少しで聖香にフラれるのではないかと心配して、体から汗を噴き出させている。慎重な性格の女子であれば、確実に湊がフラれるところだったぞ……聖香の性格があまり考えない、軽い性格で良かったな。
「だって愛理沙と涼を見てると、早く自分も彼氏が欲しくなっちゃたんだもん。やっぱり愛理沙……同棲っていい? 毎日チュッチュしてるの?」
愛理沙は耳まで真っ赤にして、照れて俯いてしまった。これではお弁当を食べることもできない。聖香…質問が直球すぎる……もう少しオブラートに包んでもらいたい。
「やっぱり盛り上がって……キャ―――……恥ずかしくて聞けなーい」
何を聞こうとしていたのか、だいたいの予想はできる。そんな恥ずかしいことは誰にも言えない。2人だけの秘密に決まっているだろう。
そんなことは聞かなくていい。こちらも返答に困る。
聖香はお弁当を持ったまま、盛り上がって椅子から立ち上がっている。
教室中のクラスメイトが不思議な目で聖香を見ている。
「聖香…クラスの皆が見ている。食べる時はお行儀よく食べよう」
「はーい」
湊が小さな声で聖香に注意する。聖香は素直に湊の指示に従う。これはこれで良いカップルになりそうだ。
ようやく静かにお弁当を食べられる。
よく見ると湊と聖香のお弁当のおかずが一緒だ。
湊はいつもよりも嬉しそうにお弁当を食べている。
「そのお弁当、お揃いだな」
「うん。愛理沙と涼の真似をしてみたの。これからは私が湊のお弁当を作ってくるだよ。その代り、湊が放課後に遊びに行った時に奢ってくれるって」
既に交換条件はできているようだ。2人がそれで満足しているなら、涼から何もいうことはない。
「湊……上手く聖香を説得したもんだな」
「これも愛理沙と涼のおかげだよ。本当にありがとう」
湊は嬉しそうにお弁当を食べて、いつも冷静な顔が少しデレている。
聖香は真剣な眼差しで愛理沙と涼を見つめてくる。
「あのさ……真剣に聞きたいんだけど……同棲になる時のタイミングっていつ決めればいいの?」
涼は思わず口元を押える。もう少しでお弁当が口から出るところだった。
愛理沙は恥ずかしくて、俯いたまま、小さな口でお弁当を食べている。
きっと聖香の言ったことをなかったことにするつもりのようだ。
同棲のタイミングなんて聞かれても、答えようがない。
聖香は目を輝かせて、体を前のめりにして、涼と愛理沙の答えを待っている。
何か……答えなければ……聖香は納得しないだろう。
「お互いが、すごく好きになった時だよ。お互いが2人一緒に大好きになった時がタイミングかな? もちろん両親の許可も必要になるな」
「そうなんだー。まだ湊のこと、そんなに知らないし、そこまで好きって感じがまだわからないのよね。これからだと思ってるし。両親へ国際電話もしないといけないし。同棲はずっと先になりそうね……ああ…残念」
聖香が残念がっている以上に聖香の隣に落ち込んでいる湊がいますけど……これはどうしたらいいんだ?
「そうだ……夜ご飯を1人で食べてても寂しいから、時々、湊に食べに来てもらったらいいんだ!これだと同棲にならないし、セーフ」
何がセーフか分からないが、聖香の中では納得したらしい。
湊は聖香と夕飯を食べられると聞いて、顔を背けて、少し涙ぐんで喜んでいる。
教室のドアが開いて、大柄の陽太が真直ぐに涼達の元へ歩いてくる。
「涼……話が違うじゃないか……芽衣と同棲を始めてから、芽衣の監視が厳しくなったぞ……そんなこと俺は一切聞いてない……一体、どういうことだ」
大きな声で陽太が涼に訴える。
そんな大声で言うと、クラスの皆に芽衣と陽太が同棲していることがバレるじゃないか。陽太……自分で自分の首を絞めてどうする。
教室のドアの所を見ると、暗い炎をまとった芽衣が深い笑みを浮かべていた。
昼休憩になって聖香の誘いで、愛理沙、聖香、涼、湊の4名でお弁当を食べることになった。
なぜか、湊と聖香も寝不足のようで欠伸を何回もしている。
「昨日は湊と朝まで長電話しちゃってさー……愛理沙と涼のおかげで恋愛について深く考えちゃったよ」
聖香がそんなことを欠伸をしながら言ってくる。
朝まで聖香の恋愛相談に乗ってやっていたのか……湊もマメな男だと涼は感心する。
聖香のことが好きだから、湊は幸せな一時を噛みしめていたに違いない。
「湊とも話し合っただけど……私達も涼と愛理沙を見習って、仮彼女、仮彼氏から練習したほうがいいかなっていうことになって、今日から湊と私は仮のカップルとして恋愛を練習することになったの」
思わず涼は食べていたお弁当を噴き出しそうになった。
愛理沙は聖香の答えを聞いて、心配そうに涼の顔を見ている。
湊はうんうんと大きく頷いて、大満足そうな微笑みを浮かべている。
聖香は難問が解けたような爽快な笑顔で、涼と愛理沙を見ている。
なぜ、カップルではなく、仮が必要だったのか、意味はわからないが、湊が上手く聖香を誘導したのだろう。
こういう時、頭の回転の良い湊が発案したに違いない。
聖香もノリノリのようなので、ここは素直にお祝いしてあげたほうが良いだろう。
「おめでとう。湊、聖香。早く仮カップルから正式なカップルになれればいいな」
「え! そういう意味だったの? 仮カップルって、新しい彼氏ができたら解消するものじゃないの?」
聖香はどうも大きな誤解をしていたようだ。湊としては既成事実だけでも作っておこうとしたに違いない。
「仮カップルというのは正式なカップルになる前の準備みたいなもんだよ。だから聖香は湊とカップルになるんだ」
「へえーそうなんだ。決まっちゃったものは仕方ないかなー。湊もイケメンだし、頭の回転もいいし、女子からも人気が高いし……優良株よね……私ってお買い得したのかな? 私は湊でいいよ。しばらく湊で様子を見る」
考えがずいぶん軽いな。そんなに彼氏が欲しかったのか?
湊を見ると、もう少しで聖香にフラれるのではないかと心配して、体から汗を噴き出させている。慎重な性格の女子であれば、確実に湊がフラれるところだったぞ……聖香の性格があまり考えない、軽い性格で良かったな。
「だって愛理沙と涼を見てると、早く自分も彼氏が欲しくなっちゃたんだもん。やっぱり愛理沙……同棲っていい? 毎日チュッチュしてるの?」
愛理沙は耳まで真っ赤にして、照れて俯いてしまった。これではお弁当を食べることもできない。聖香…質問が直球すぎる……もう少しオブラートに包んでもらいたい。
「やっぱり盛り上がって……キャ―――……恥ずかしくて聞けなーい」
何を聞こうとしていたのか、だいたいの予想はできる。そんな恥ずかしいことは誰にも言えない。2人だけの秘密に決まっているだろう。
そんなことは聞かなくていい。こちらも返答に困る。
聖香はお弁当を持ったまま、盛り上がって椅子から立ち上がっている。
教室中のクラスメイトが不思議な目で聖香を見ている。
「聖香…クラスの皆が見ている。食べる時はお行儀よく食べよう」
「はーい」
湊が小さな声で聖香に注意する。聖香は素直に湊の指示に従う。これはこれで良いカップルになりそうだ。
ようやく静かにお弁当を食べられる。
よく見ると湊と聖香のお弁当のおかずが一緒だ。
湊はいつもよりも嬉しそうにお弁当を食べている。
「そのお弁当、お揃いだな」
「うん。愛理沙と涼の真似をしてみたの。これからは私が湊のお弁当を作ってくるだよ。その代り、湊が放課後に遊びに行った時に奢ってくれるって」
既に交換条件はできているようだ。2人がそれで満足しているなら、涼から何もいうことはない。
「湊……上手く聖香を説得したもんだな」
「これも愛理沙と涼のおかげだよ。本当にありがとう」
湊は嬉しそうにお弁当を食べて、いつも冷静な顔が少しデレている。
聖香は真剣な眼差しで愛理沙と涼を見つめてくる。
「あのさ……真剣に聞きたいんだけど……同棲になる時のタイミングっていつ決めればいいの?」
涼は思わず口元を押える。もう少しでお弁当が口から出るところだった。
愛理沙は恥ずかしくて、俯いたまま、小さな口でお弁当を食べている。
きっと聖香の言ったことをなかったことにするつもりのようだ。
同棲のタイミングなんて聞かれても、答えようがない。
聖香は目を輝かせて、体を前のめりにして、涼と愛理沙の答えを待っている。
何か……答えなければ……聖香は納得しないだろう。
「お互いが、すごく好きになった時だよ。お互いが2人一緒に大好きになった時がタイミングかな? もちろん両親の許可も必要になるな」
「そうなんだー。まだ湊のこと、そんなに知らないし、そこまで好きって感じがまだわからないのよね。これからだと思ってるし。両親へ国際電話もしないといけないし。同棲はずっと先になりそうね……ああ…残念」
聖香が残念がっている以上に聖香の隣に落ち込んでいる湊がいますけど……これはどうしたらいいんだ?
「そうだ……夜ご飯を1人で食べてても寂しいから、時々、湊に食べに来てもらったらいいんだ!これだと同棲にならないし、セーフ」
何がセーフか分からないが、聖香の中では納得したらしい。
湊は聖香と夕飯を食べられると聞いて、顔を背けて、少し涙ぐんで喜んでいる。
教室のドアが開いて、大柄の陽太が真直ぐに涼達の元へ歩いてくる。
「涼……話が違うじゃないか……芽衣と同棲を始めてから、芽衣の監視が厳しくなったぞ……そんなこと俺は一切聞いてない……一体、どういうことだ」
大きな声で陽太が涼に訴える。
そんな大声で言うと、クラスの皆に芽衣と陽太が同棲していることがバレるじゃないか。陽太……自分で自分の首を絞めてどうする。
教室のドアの所を見ると、暗い炎をまとった芽衣が深い笑みを浮かべていた。