公園に寄って、愛理沙と2人で夜空を眺める。愛理沙はずいぶんと落ち着いてきて、今は冷静に街の夜景を眺めている。
放課後に行った喫茶店のお姉さんの言葉が効いたようだ。
こういう時、上手く言葉が浮かばない。口下手な自分がこんな時はもどかしい。愛理沙をなぐさめたいのに、上手く言葉が出てこない。
「―――涼…大丈夫だから……涼は考え込まないで……涼が私をなぐさめようと思ってくれていることは伝わってくるから」
「―――うん……上手く言えなくてゴメンな」
「私こそ、楓乃から涼を奪ったんだから、頑張らないと……涼を幸せにしないと楓乃に申し訳ないね」
愛理沙は何か決心をしたように小さく呟く。
あまり無理をさせたくない。
思い詰めなければいいが。
涼は何もできない自分のことを小さく感じた。
「涼……もうそろそろ、夕飯の用意にスーパーへ行きましょう」
「もう眺めなくていいのか……いつもうよりも時間が早いよ」
「もういいの……行きましょう」
愛理沙はブランコから立ち上がると、自分の自転車の元へ歩いていった。
涼もベンチから立ち上がって愛理沙の後を歩いていく。
そして2人で自転車を押して、2人並んでスーパーまで歩いていく。
◇
今日の料理はビーフシチューと野菜スープとご飯だ。
加圧鍋で煮込んだビーフシチューは口の中で蕩けてなくなっていく。
とても美味しい。
愛理沙は上品にビーフシチューを食べ、小さい口でご飯を食べていく。
時々、涼と目が合うとにっこりと微笑むが、どこか空元気のように見える。
「ビーフシチューも野菜スープも美味しいよ。愛理沙の料理は何でも美味しい……愛理沙は本当に料理が上手だね……将来のご主人さんが羨ましいよ」
「―――将来の私のご主人様は涼だから……」
「え!」
そこまで考えていなかった。
愛理沙が自分のお嫁さん……こんなことがあっていいのか……幸せ過ぎるだろう。
未来の自分の幸運を全て使い尽くしているに違いない。
「わ……私は本気だから」
「……わかった……ありがとう……末永くお願いします」
「それは私が言うセリフでしょ」
舞い上がって間違った言葉を言ってしまった。とても照れくさくて、恥ずかしくて、愛理沙の顔を見ていることができない。
ついに涼は恥ずかしくて俯いてしまった。
「今日はいつもと逆ね」
いつもと逆とはどういう意味だろう。
あまり深く考えないようにしよう。
「涼が近くにいてくれるから……私は元気で明るく生きていられる……涼がいなくなったらどうしよう……」
「愛理沙…そんなに思いつめないで……俺が愛理沙のことを幸せにするから」
「今でも十分に幸せにしてもらってるから……涼と一緒にいると嬉しい」
夕食は楽しいうちに終わった。
2人で食事の後片付けをして、互いに交代でお風呂に入る。
涼がお風呂から出ると、愛理沙は布団の上で髪をバスタオルで乾かしていた。
涼が愛理沙の隣に座ると、何も言わずに愛理沙が涼の体を自分のほうへ倒す……涼の頭が自然と愛理沙の柔らかい膝の上に落ちる。
「前から一度、涼に膝枕をしてみたかったの……だから動かないで」
仮彼氏から彼氏に昇格しただけで、こんな幸せがあるとは……涼は心の中で幸せを感じる。愛理沙から石鹸とシャンプーの良い香りがする。
愛理沙は上から涼の顔を見下ろして満足そうに微笑んでいる。
「今日は色々と私のことで悩んでくれてありがとう……涼はいつも優しいね」
「そんなことないよ……結局、愛理沙の役に何も立てなかったし……少しだけ自分のことが悔しいんだ」
「そんなことないよ……涼が一緒に居てくれるだけで、私は十分幸せだし、心が安心で満たされるから」
涼は恥ずかしくなって顔を背けようとするが、愛理沙が手で、涼の顔の向きを戻してしまう。視線を合わせることができず、涼は目を泳がせる。
時計の針は夜の0時を回っている。いつもなら就寝の時間だ。
涼は愛理沙の膝の上から起き上がって、部屋の電気を消しにいく。
「電気を消すよ。布団に入ってね」
「うん……今日もお布団で一緒に寝てね」
夜になると愛理沙がうなされることが原因で、毎回、愛理沙の布団に入っていたが、今ではそれが常習化していて、涼も布団で寝るのが当たり前になっていた。
電気を消して、暗がりの部屋を歩いて、愛理沙の寝ている布団にはいる。
いつものように愛理沙が涼の両手を握って、自分の胸元へ持って行く。
そうすることで愛理沙は安心するという。
愛理沙が顔を近づけて自分の額を涼の額に当てる。
涼の目の前に美しい美少女である愛理沙の顔が近づいてくる。
いつも見慣れているはずだが、やはり愛理沙は美少女だと思う。
今日の愛理沙の瞳はいつもよりウルウルと潤んでいて、唇が濡れていて色っぽい。
そのまま愛理沙は目をつむり、いきなり涼の唇に自分の唇を軽く合わせた。
涼はあまりの出来事に驚いて目を大きく見開く。
「アウ……キスしちゃった……」
そう言って愛理沙は両手をほどいて、涼から少し距離を離そうとする。
涼は愛理沙をやさしく抱きしめて、愛理沙の体を引き寄せて軽くキスをする。
愛理沙の口から甘い吐息が漏れる。
「また……キスしちゃった……」
「何度でもするよ……俺は愛理沙が好きだから」
「私も涼のことが好き」
布団の中で、お互いに体を抱き合って、何度も2人でキスを交わした。
2人は幸せの雰囲気の中に包まれて眠りへと誘われていく……
放課後に行った喫茶店のお姉さんの言葉が効いたようだ。
こういう時、上手く言葉が浮かばない。口下手な自分がこんな時はもどかしい。愛理沙をなぐさめたいのに、上手く言葉が出てこない。
「―――涼…大丈夫だから……涼は考え込まないで……涼が私をなぐさめようと思ってくれていることは伝わってくるから」
「―――うん……上手く言えなくてゴメンな」
「私こそ、楓乃から涼を奪ったんだから、頑張らないと……涼を幸せにしないと楓乃に申し訳ないね」
愛理沙は何か決心をしたように小さく呟く。
あまり無理をさせたくない。
思い詰めなければいいが。
涼は何もできない自分のことを小さく感じた。
「涼……もうそろそろ、夕飯の用意にスーパーへ行きましょう」
「もう眺めなくていいのか……いつもうよりも時間が早いよ」
「もういいの……行きましょう」
愛理沙はブランコから立ち上がると、自分の自転車の元へ歩いていった。
涼もベンチから立ち上がって愛理沙の後を歩いていく。
そして2人で自転車を押して、2人並んでスーパーまで歩いていく。
◇
今日の料理はビーフシチューと野菜スープとご飯だ。
加圧鍋で煮込んだビーフシチューは口の中で蕩けてなくなっていく。
とても美味しい。
愛理沙は上品にビーフシチューを食べ、小さい口でご飯を食べていく。
時々、涼と目が合うとにっこりと微笑むが、どこか空元気のように見える。
「ビーフシチューも野菜スープも美味しいよ。愛理沙の料理は何でも美味しい……愛理沙は本当に料理が上手だね……将来のご主人さんが羨ましいよ」
「―――将来の私のご主人様は涼だから……」
「え!」
そこまで考えていなかった。
愛理沙が自分のお嫁さん……こんなことがあっていいのか……幸せ過ぎるだろう。
未来の自分の幸運を全て使い尽くしているに違いない。
「わ……私は本気だから」
「……わかった……ありがとう……末永くお願いします」
「それは私が言うセリフでしょ」
舞い上がって間違った言葉を言ってしまった。とても照れくさくて、恥ずかしくて、愛理沙の顔を見ていることができない。
ついに涼は恥ずかしくて俯いてしまった。
「今日はいつもと逆ね」
いつもと逆とはどういう意味だろう。
あまり深く考えないようにしよう。
「涼が近くにいてくれるから……私は元気で明るく生きていられる……涼がいなくなったらどうしよう……」
「愛理沙…そんなに思いつめないで……俺が愛理沙のことを幸せにするから」
「今でも十分に幸せにしてもらってるから……涼と一緒にいると嬉しい」
夕食は楽しいうちに終わった。
2人で食事の後片付けをして、互いに交代でお風呂に入る。
涼がお風呂から出ると、愛理沙は布団の上で髪をバスタオルで乾かしていた。
涼が愛理沙の隣に座ると、何も言わずに愛理沙が涼の体を自分のほうへ倒す……涼の頭が自然と愛理沙の柔らかい膝の上に落ちる。
「前から一度、涼に膝枕をしてみたかったの……だから動かないで」
仮彼氏から彼氏に昇格しただけで、こんな幸せがあるとは……涼は心の中で幸せを感じる。愛理沙から石鹸とシャンプーの良い香りがする。
愛理沙は上から涼の顔を見下ろして満足そうに微笑んでいる。
「今日は色々と私のことで悩んでくれてありがとう……涼はいつも優しいね」
「そんなことないよ……結局、愛理沙の役に何も立てなかったし……少しだけ自分のことが悔しいんだ」
「そんなことないよ……涼が一緒に居てくれるだけで、私は十分幸せだし、心が安心で満たされるから」
涼は恥ずかしくなって顔を背けようとするが、愛理沙が手で、涼の顔の向きを戻してしまう。視線を合わせることができず、涼は目を泳がせる。
時計の針は夜の0時を回っている。いつもなら就寝の時間だ。
涼は愛理沙の膝の上から起き上がって、部屋の電気を消しにいく。
「電気を消すよ。布団に入ってね」
「うん……今日もお布団で一緒に寝てね」
夜になると愛理沙がうなされることが原因で、毎回、愛理沙の布団に入っていたが、今ではそれが常習化していて、涼も布団で寝るのが当たり前になっていた。
電気を消して、暗がりの部屋を歩いて、愛理沙の寝ている布団にはいる。
いつものように愛理沙が涼の両手を握って、自分の胸元へ持って行く。
そうすることで愛理沙は安心するという。
愛理沙が顔を近づけて自分の額を涼の額に当てる。
涼の目の前に美しい美少女である愛理沙の顔が近づいてくる。
いつも見慣れているはずだが、やはり愛理沙は美少女だと思う。
今日の愛理沙の瞳はいつもよりウルウルと潤んでいて、唇が濡れていて色っぽい。
そのまま愛理沙は目をつむり、いきなり涼の唇に自分の唇を軽く合わせた。
涼はあまりの出来事に驚いて目を大きく見開く。
「アウ……キスしちゃった……」
そう言って愛理沙は両手をほどいて、涼から少し距離を離そうとする。
涼は愛理沙をやさしく抱きしめて、愛理沙の体を引き寄せて軽くキスをする。
愛理沙の口から甘い吐息が漏れる。
「また……キスしちゃった……」
「何度でもするよ……俺は愛理沙が好きだから」
「私も涼のことが好き」
布団の中で、お互いに体を抱き合って、何度も2人でキスを交わした。
2人は幸せの雰囲気の中に包まれて眠りへと誘われていく……