ゴールデンウィークが過ぎて、学校へ登校する。
クラスに着いて涼は、すぐに湊、陽太、楓乃、聖香の4人を集めた。
涼の隣には愛理沙が両手を前で握りしめて立っている。
「なんだ? 2人で朝から呼び出すなんて? また何か発表か?」
「まさか? 本当に2人で、仮の超えて、本当に付き合うことになりましたって言うんじゃないだろうな?」
湊と陽太が涼と愛理沙の2人を見て、そんなことを言う。
陽太……ずばり正解を当てないでくれ……これから話ができないじゃないか。
「あ―――今、湊と陽太が言ったことと似てるんだが、愛理沙と2人で話し合った結果、正式に付き合うことになりました。これからも俺達2人をよろしくお願いします……」
湊は額を抱え、陽太は口を開けて呆けている。
楓乃のは胸の下で腕組をして目を細めて、聖香は驚いた顔をしている。
「――――今までと何かが変わったということはない。学校では少し距離を置こうって、愛理沙と話し合っているし……学校では何の変化もないから、そのつもりで俺達2人と付き合ってほしい」
楓乃の瞳が怪しく光る。
「……学校では? ……学校ではね―。学校を出たらどうなるの?」
「学校を出たら、普通のカップルとして付き合うよ。そういう意味だから」
聖香が目をウルウルと潤ませながら両手を胸の前で握って、涼を見る。
「仮彼氏に涼ちゃんがなった時から、嫌な予感はしてたの……段々と愛理沙ちゃんと仲良くなっていくし……最近では愛理沙ちゃんとお揃いのお弁当も持ってきたし……やっぱりそうなっちゃったのね」
湊が聖香の背中をさすって、優しい声で諭す。
「これも流れだよ。水が下へ落ちていくのを誰も止められない。愛理沙と涼の仲は、そういう流れだったんだ。聖香は違う流れを探そう。きっと近くにもっと良い流れがあるに違いない。俺が相談に乗るよ」
「湊……ありがとう……湊はいつも優しいね……」
湊は愛理沙と涼の関係を利用して、聖香を自分の流れに持って行こうとしている。湊はこの流れを利用するつもりだ。これだから頭の良い人間は……
陽太はにっこりと笑っている。
「涼と愛理沙がそれで幸せになるなら良いんじゃないか。俺は賛成するぞ。ああ―――俺にも愛理沙のような美少女から言い寄られたいよな……俺に近くにいるのは……うるさい芽衣ぐらいだもんな……」
そのことを芽衣の目の前で絶対に言わない方がいい。
芽衣の報復が怖い。
楓乃は黙ったまま頬を膨らませている。
「2人共、勝手よ。いつも知らない所で2人で決めてきてさ……私達に一言も相談なんてないじゃない」
「それはすまないと思ってる……しかし、カップルになるのに、その度に友達に相談するのも変だろう」
「それはそうだけど……私は納得してないから……涼のことを小さい頃から一番知ってるのは私だから……私が涼の一番の理解者なんだから……愛理沙なんて高校3年生になって涼と出会ったばかりじゃない」
楓乃が知っているのは小さい頃からの、涼の上部のことばかりだ。涼は小さい頃から心を閉ざして生きて来た。
だから楓乃は涼の本当の心のことを知らない。
そのことを涼が言おうとすると愛理沙が涼の前に手を持ってきて制止させる。
「涼のことを小さい頃から一番よく知っているのは楓乃だと思う。それは事実よ。私は何も知らないわ。涼が話してくれるというなら、涼の過去を教えてもらうかもしれない。でも涼が過去に触れられたくないって思っているなら、私は涼の過去を絶対に聞かないし触れない。今の涼の気持ちが大事だから。私達はそういう関係なの……楓乃に認めてもらえるように、これから私も頑張っていくわ」
「私は愛理沙のこと認めてないから! それだけは覚えておいてね!」
そう言って、楓乃のは涼達の傍から離れていった。
聖香が慌てて楓乃の後を追う。後は聖香に任せておこう。今、説得しようとしても、火に油を注ぐようなものだ。
「楓乃はずっと涼一筋だったから、納得できないのも無理ないよな。早く涼よりも良い男と巡り合えたらいいんだけどな……そうか、俺が楓乃の彼氏になればいいのか……俺、今から楓乃をなぐさめてくる」
「ちょっと待て…陽太。余計にややこしいことになる。俺も一緒にいくから少し冷静になれ」
慌ただしく、陽太が楓乃の後を追って歩いていく。その後ろを湊が追いかける。楓乃のために聖香に続いて、陽太と湊も様子を見に行ってくれた。これで少しは安心だろう。
隣を見ると愛理沙が哀しそうな潤んだ目で俯いている。
「やっぱり楓乃には納得してもらえなかった……わかってたことなのに、本人から言われるとツライね」
「楓乃も少し冷静になれば理解できるさ……俺は心に距離を置いてくれる人でないと安心できない。楓乃では無理だ。楓乃は心の距離がわからない。俺の彼女になれるのは愛理沙だけだよ」
「ありがとう……涼のいいたいこと、私は理解できる。私も心に距離を取ってくれる人でないと安心できない。だから彼氏になるのは涼しかいない。私ができる限り楓乃には優しくするつもりだけど、私のことを理解してほしいとは思わないから……元のように楓乃と仲良くなるのは無理かもしれない」
「それは俺も同じだな……俺も楓乃に理解してほしいと思わない……俺と愛理沙のことを理解してほしいとも思わない……たぶん楓乃には俺達2人のことはわからない」
愛理沙は涼の左手に自分の右手を当てる。涼は愛理沙の右手に指を絡めて、しっかりとギュっと握る。
愛理沙も涼の左手に指を絡ませて、しっかりと握る。
皆への報告は済んだ。
こんな結果になってしまったけど仕方がない。
これからは愛理沙を守っていくことだけを考えよう。
涼が愛理沙を見ると愛理沙も顔をあげて涼を見つめる。
愛理沙は涼を安心させるように優しく微笑んだ。
涼も愛理沙を安心させるように優しく微笑む。
2人の間に温かくて穏やかな雰囲気が流れる。
「俺は愛理沙を離さないよ」
「アウ……学校ではそういう発言は少し控えよてね……私も涼から離れない……」
愛理沙は恥ずかしく、照れて、俯いてしまった。
しかし、涼の左手はしっかりと握られていた。
クラスに着いて涼は、すぐに湊、陽太、楓乃、聖香の4人を集めた。
涼の隣には愛理沙が両手を前で握りしめて立っている。
「なんだ? 2人で朝から呼び出すなんて? また何か発表か?」
「まさか? 本当に2人で、仮の超えて、本当に付き合うことになりましたって言うんじゃないだろうな?」
湊と陽太が涼と愛理沙の2人を見て、そんなことを言う。
陽太……ずばり正解を当てないでくれ……これから話ができないじゃないか。
「あ―――今、湊と陽太が言ったことと似てるんだが、愛理沙と2人で話し合った結果、正式に付き合うことになりました。これからも俺達2人をよろしくお願いします……」
湊は額を抱え、陽太は口を開けて呆けている。
楓乃のは胸の下で腕組をして目を細めて、聖香は驚いた顔をしている。
「――――今までと何かが変わったということはない。学校では少し距離を置こうって、愛理沙と話し合っているし……学校では何の変化もないから、そのつもりで俺達2人と付き合ってほしい」
楓乃の瞳が怪しく光る。
「……学校では? ……学校ではね―。学校を出たらどうなるの?」
「学校を出たら、普通のカップルとして付き合うよ。そういう意味だから」
聖香が目をウルウルと潤ませながら両手を胸の前で握って、涼を見る。
「仮彼氏に涼ちゃんがなった時から、嫌な予感はしてたの……段々と愛理沙ちゃんと仲良くなっていくし……最近では愛理沙ちゃんとお揃いのお弁当も持ってきたし……やっぱりそうなっちゃったのね」
湊が聖香の背中をさすって、優しい声で諭す。
「これも流れだよ。水が下へ落ちていくのを誰も止められない。愛理沙と涼の仲は、そういう流れだったんだ。聖香は違う流れを探そう。きっと近くにもっと良い流れがあるに違いない。俺が相談に乗るよ」
「湊……ありがとう……湊はいつも優しいね……」
湊は愛理沙と涼の関係を利用して、聖香を自分の流れに持って行こうとしている。湊はこの流れを利用するつもりだ。これだから頭の良い人間は……
陽太はにっこりと笑っている。
「涼と愛理沙がそれで幸せになるなら良いんじゃないか。俺は賛成するぞ。ああ―――俺にも愛理沙のような美少女から言い寄られたいよな……俺に近くにいるのは……うるさい芽衣ぐらいだもんな……」
そのことを芽衣の目の前で絶対に言わない方がいい。
芽衣の報復が怖い。
楓乃は黙ったまま頬を膨らませている。
「2人共、勝手よ。いつも知らない所で2人で決めてきてさ……私達に一言も相談なんてないじゃない」
「それはすまないと思ってる……しかし、カップルになるのに、その度に友達に相談するのも変だろう」
「それはそうだけど……私は納得してないから……涼のことを小さい頃から一番知ってるのは私だから……私が涼の一番の理解者なんだから……愛理沙なんて高校3年生になって涼と出会ったばかりじゃない」
楓乃が知っているのは小さい頃からの、涼の上部のことばかりだ。涼は小さい頃から心を閉ざして生きて来た。
だから楓乃は涼の本当の心のことを知らない。
そのことを涼が言おうとすると愛理沙が涼の前に手を持ってきて制止させる。
「涼のことを小さい頃から一番よく知っているのは楓乃だと思う。それは事実よ。私は何も知らないわ。涼が話してくれるというなら、涼の過去を教えてもらうかもしれない。でも涼が過去に触れられたくないって思っているなら、私は涼の過去を絶対に聞かないし触れない。今の涼の気持ちが大事だから。私達はそういう関係なの……楓乃に認めてもらえるように、これから私も頑張っていくわ」
「私は愛理沙のこと認めてないから! それだけは覚えておいてね!」
そう言って、楓乃のは涼達の傍から離れていった。
聖香が慌てて楓乃の後を追う。後は聖香に任せておこう。今、説得しようとしても、火に油を注ぐようなものだ。
「楓乃はずっと涼一筋だったから、納得できないのも無理ないよな。早く涼よりも良い男と巡り合えたらいいんだけどな……そうか、俺が楓乃の彼氏になればいいのか……俺、今から楓乃をなぐさめてくる」
「ちょっと待て…陽太。余計にややこしいことになる。俺も一緒にいくから少し冷静になれ」
慌ただしく、陽太が楓乃の後を追って歩いていく。その後ろを湊が追いかける。楓乃のために聖香に続いて、陽太と湊も様子を見に行ってくれた。これで少しは安心だろう。
隣を見ると愛理沙が哀しそうな潤んだ目で俯いている。
「やっぱり楓乃には納得してもらえなかった……わかってたことなのに、本人から言われるとツライね」
「楓乃も少し冷静になれば理解できるさ……俺は心に距離を置いてくれる人でないと安心できない。楓乃では無理だ。楓乃は心の距離がわからない。俺の彼女になれるのは愛理沙だけだよ」
「ありがとう……涼のいいたいこと、私は理解できる。私も心に距離を取ってくれる人でないと安心できない。だから彼氏になるのは涼しかいない。私ができる限り楓乃には優しくするつもりだけど、私のことを理解してほしいとは思わないから……元のように楓乃と仲良くなるのは無理かもしれない」
「それは俺も同じだな……俺も楓乃に理解してほしいと思わない……俺と愛理沙のことを理解してほしいとも思わない……たぶん楓乃には俺達2人のことはわからない」
愛理沙は涼の左手に自分の右手を当てる。涼は愛理沙の右手に指を絡めて、しっかりとギュっと握る。
愛理沙も涼の左手に指を絡ませて、しっかりと握る。
皆への報告は済んだ。
こんな結果になってしまったけど仕方がない。
これからは愛理沙を守っていくことだけを考えよう。
涼が愛理沙を見ると愛理沙も顔をあげて涼を見つめる。
愛理沙は涼を安心させるように優しく微笑んだ。
涼も愛理沙を安心させるように優しく微笑む。
2人の間に温かくて穏やかな雰囲気が流れる。
「俺は愛理沙を離さないよ」
「アウ……学校ではそういう発言は少し控えよてね……私も涼から離れない……」
愛理沙は恥ずかしく、照れて、俯いてしまった。
しかし、涼の左手はしっかりと握られていた。