ゴールデンウィークにはいった。
涼は女子だけで旅行にでも行けばと愛理沙に提案するが、愛理沙は旅行に行く気持ちなどないと言う。
家で掃除をしているほうが愛理沙は落ち着くらしい。
せっかくのゴールデンウィークが勿体ない。
「涼はゴールデンウィークに何か用事があるの?」
「うん……毎年、亡くなった家族の墓へ参りにいくんだ。だから1日だけ家を空けるね」
「涼の家族のお墓なら、一緒にお参りしたい……涼のアパートにもお世話になっているし」
「せっかくのゴールデンウィークを墓参りに使う必要はないよ。もっと楽しいことに使って」
「私は涼といるほうが安心するの……他の人達だと警戒してしまうし、緊張する。だから涼と一緒にお墓参りに連れていって」
そこまで言われると涼も断ることができない。本当は涼が愛理沙をどこかへ連れてい行ってあげればいいのだが……女子とデートをしたこともない涼が、デートの場所など考え付くはずもない。
「墓参りは明日だから、今日は愛理沙と一緒に街に出よう。2人で街に出るのはアパートへ来て以来だろう。」
青雲高校へ通うのに、高台から街まで通っているが、青雲高校は街の中心街から外れていて、涼と愛理沙は街の中心街へ2人で行ったのは家財道具を買いに行った時だけだ。
涼はポケットからスマホを取り出して湊にLINEをする。
《今日は愛理沙と、街へ出たいのだが、女子と2人で行動したことがない。どこへ案内すればいい?》
すぐに湊からLINEの返信がくる。
《仮彼氏の涼が愛理沙とデートすることになっていることがおかしい》
湊に疑われてしまった。すぐに涼も返信する。
《成り行きでそうなっただけだ》
《そんな楽しいことは皆で分かち合おう。待ち合わせは駅前のロータリー広場だ》
湊に強引に予定を組まれてしまった。
そのことを愛理沙に伝えると、愛理沙はおかしそうに笑う。
「私と涼もデートなんてしたことないものね。皆が一緒のほうが楽しいかも……私はそれでいいよ」
涼としては愛理沙とデートをしてみたかったが、愛理沙がそれで良いというなら仕方がない。
私服に着替えてアパートを出る。今日は皆が一緒ということなので、2人で歩いて高台から街中のターミナル広場まで歩くことにした。
待ち合わせの時間まで十分に時間がある。空は快晴で雲一つなく、そよ風が吹いていて、とても気持ちが良い。
愛理沙と2人で並んで歩く。陽光に照らされた愛理沙はまさに美少女。
隣に歩いている涼は自分が恥ずかしくなる。
「どうしたの?」
「愛理沙がとってもきれいだからさ。隣に俺が歩いていいのかって思っていたんだ」
「アウ―――涼はまたそんなことを言う……涼も恰好いいよ。私は涼と歩くのが大好きよ」
愛理沙は恥ずかしそうに照れながら、涼に思いを告げる。
愛理沙の気遣いは嬉しいが、やはり涼には勿体ない美少女だと思ってしまう。
「涼は自分の魅力がわかっていないわ……だって、すごく甘いマスクをしてるのよ……学校では涼にも隠れファンは多いんだから」
学校で涼が人気があるなんて、そんな噂を耳にしたことがない。
愛理沙が涼を元気づけようとして、励ましてくれているんだと思う。
イケメンで、女子から人気なのは湊だと思っている。
湊は聖香が好きだけど……そのことは内緒だ。
それに元気が良くて、陽気で男女共に人気があるのは陽太だ。
元生徒会長の芽衣も陽太のことを気に入っている。
それに比べると、どこか影が薄いと涼は自分のことを感じる。
涼は他人の心の距離を測ることは得意だったが、自分のことには無頓着な性格だと自分で気づいていない。
ロータリの広場に付いて、2人で木陰に立っていると、湊、陽太、楓乃、聖香、芽衣の5人が集まった。
まさか全員が集まるとは思わなかった。
「ゴールデンウィークといってもさ。俺の家なんてジムだろう。だから今日は客が沢山いて、ジムでトレーニングをすることもできないんだぜ」
陽太が豪快に笑って、涼の肩を叩く。
「今日は楓乃ちゃんと遊ぶ約束をしてたんです。湊ちゃんからLINEをもらってビックリしました。愛理沙と涼ちゃんの2人だけで、抜け駆けデートなんて許せません。私達も一緒に遊びに行きます」
聖香が豊満な胸を張って、涼へと抗議をする。
「私の家で同居していた時は、涼はどこへも連れて行ってくれなかったのに……愛理沙だけズルい」
なぜか楓乃が涼と愛理沙に怒っている。
「私は暇だったから陽太に付いて来ただけよ。別に陽太と遊ぶ約束をしていたわけじゃないからね」
芽衣は誰からも聞かれていないのに、なぜか言い訳をする。
「そんな訳だから、皆で遊びに行こう。カラオケは涼と愛理沙が苦手だから、今日は却下するとして……映画でも見に行かないか?」
皆が静かになったところで、湊が映画を観に行こうと提案する。
「別に駅前に来たからと行って、何か遊ぶ所があるって訳でもないしな。ゲーセンに行っても、楽しめる者と楽しめない者に分かれるしな。湊の提案でいいんじゃないか」
全員、異論なく映画館へ行くことで決まった。
それぞれに思惑があるようだ。
涼はもちろん、映画館の中で愛理沙と仲良くしたいという気持ちが大きい。
「皆の意見が決まったところで、シアタービルまで歩いていこう」
駅前のターミナル広場から離れて人並みの雑踏の中を皆でシアタービルへと向かう。
湊が先頭に立って皆を誘導する。
その後ろに聖香と楓乃の2人が歩いていく。
そして、陽太と芽衣が並んで続く。
一番最後尾に涼と愛理沙が付いていく。
「涼…皆が揃うと頼もしいね」
「ゴールデンウィークらしくていいと思う」
交差点の信号を渡って、皆で楽しく談笑しながらシアタービルを目指す。
涼は女子だけで旅行にでも行けばと愛理沙に提案するが、愛理沙は旅行に行く気持ちなどないと言う。
家で掃除をしているほうが愛理沙は落ち着くらしい。
せっかくのゴールデンウィークが勿体ない。
「涼はゴールデンウィークに何か用事があるの?」
「うん……毎年、亡くなった家族の墓へ参りにいくんだ。だから1日だけ家を空けるね」
「涼の家族のお墓なら、一緒にお参りしたい……涼のアパートにもお世話になっているし」
「せっかくのゴールデンウィークを墓参りに使う必要はないよ。もっと楽しいことに使って」
「私は涼といるほうが安心するの……他の人達だと警戒してしまうし、緊張する。だから涼と一緒にお墓参りに連れていって」
そこまで言われると涼も断ることができない。本当は涼が愛理沙をどこかへ連れてい行ってあげればいいのだが……女子とデートをしたこともない涼が、デートの場所など考え付くはずもない。
「墓参りは明日だから、今日は愛理沙と一緒に街に出よう。2人で街に出るのはアパートへ来て以来だろう。」
青雲高校へ通うのに、高台から街まで通っているが、青雲高校は街の中心街から外れていて、涼と愛理沙は街の中心街へ2人で行ったのは家財道具を買いに行った時だけだ。
涼はポケットからスマホを取り出して湊にLINEをする。
《今日は愛理沙と、街へ出たいのだが、女子と2人で行動したことがない。どこへ案内すればいい?》
すぐに湊からLINEの返信がくる。
《仮彼氏の涼が愛理沙とデートすることになっていることがおかしい》
湊に疑われてしまった。すぐに涼も返信する。
《成り行きでそうなっただけだ》
《そんな楽しいことは皆で分かち合おう。待ち合わせは駅前のロータリー広場だ》
湊に強引に予定を組まれてしまった。
そのことを愛理沙に伝えると、愛理沙はおかしそうに笑う。
「私と涼もデートなんてしたことないものね。皆が一緒のほうが楽しいかも……私はそれでいいよ」
涼としては愛理沙とデートをしてみたかったが、愛理沙がそれで良いというなら仕方がない。
私服に着替えてアパートを出る。今日は皆が一緒ということなので、2人で歩いて高台から街中のターミナル広場まで歩くことにした。
待ち合わせの時間まで十分に時間がある。空は快晴で雲一つなく、そよ風が吹いていて、とても気持ちが良い。
愛理沙と2人で並んで歩く。陽光に照らされた愛理沙はまさに美少女。
隣に歩いている涼は自分が恥ずかしくなる。
「どうしたの?」
「愛理沙がとってもきれいだからさ。隣に俺が歩いていいのかって思っていたんだ」
「アウ―――涼はまたそんなことを言う……涼も恰好いいよ。私は涼と歩くのが大好きよ」
愛理沙は恥ずかしそうに照れながら、涼に思いを告げる。
愛理沙の気遣いは嬉しいが、やはり涼には勿体ない美少女だと思ってしまう。
「涼は自分の魅力がわかっていないわ……だって、すごく甘いマスクをしてるのよ……学校では涼にも隠れファンは多いんだから」
学校で涼が人気があるなんて、そんな噂を耳にしたことがない。
愛理沙が涼を元気づけようとして、励ましてくれているんだと思う。
イケメンで、女子から人気なのは湊だと思っている。
湊は聖香が好きだけど……そのことは内緒だ。
それに元気が良くて、陽気で男女共に人気があるのは陽太だ。
元生徒会長の芽衣も陽太のことを気に入っている。
それに比べると、どこか影が薄いと涼は自分のことを感じる。
涼は他人の心の距離を測ることは得意だったが、自分のことには無頓着な性格だと自分で気づいていない。
ロータリの広場に付いて、2人で木陰に立っていると、湊、陽太、楓乃、聖香、芽衣の5人が集まった。
まさか全員が集まるとは思わなかった。
「ゴールデンウィークといってもさ。俺の家なんてジムだろう。だから今日は客が沢山いて、ジムでトレーニングをすることもできないんだぜ」
陽太が豪快に笑って、涼の肩を叩く。
「今日は楓乃ちゃんと遊ぶ約束をしてたんです。湊ちゃんからLINEをもらってビックリしました。愛理沙と涼ちゃんの2人だけで、抜け駆けデートなんて許せません。私達も一緒に遊びに行きます」
聖香が豊満な胸を張って、涼へと抗議をする。
「私の家で同居していた時は、涼はどこへも連れて行ってくれなかったのに……愛理沙だけズルい」
なぜか楓乃が涼と愛理沙に怒っている。
「私は暇だったから陽太に付いて来ただけよ。別に陽太と遊ぶ約束をしていたわけじゃないからね」
芽衣は誰からも聞かれていないのに、なぜか言い訳をする。
「そんな訳だから、皆で遊びに行こう。カラオケは涼と愛理沙が苦手だから、今日は却下するとして……映画でも見に行かないか?」
皆が静かになったところで、湊が映画を観に行こうと提案する。
「別に駅前に来たからと行って、何か遊ぶ所があるって訳でもないしな。ゲーセンに行っても、楽しめる者と楽しめない者に分かれるしな。湊の提案でいいんじゃないか」
全員、異論なく映画館へ行くことで決まった。
それぞれに思惑があるようだ。
涼はもちろん、映画館の中で愛理沙と仲良くしたいという気持ちが大きい。
「皆の意見が決まったところで、シアタービルまで歩いていこう」
駅前のターミナル広場から離れて人並みの雑踏の中を皆でシアタービルへと向かう。
湊が先頭に立って皆を誘導する。
その後ろに聖香と楓乃の2人が歩いていく。
そして、陽太と芽衣が並んで続く。
一番最後尾に涼と愛理沙が付いていく。
「涼…皆が揃うと頼もしいね」
「ゴールデンウィークらしくていいと思う」
交差点の信号を渡って、皆で楽しく談笑しながらシアタービルを目指す。