学校に着いた私たちは、それぞれ自分の席に着き、1時間目の用意をする。
今日はゆっくり来てしまったせいで、時間がギリギリなのだ。
それなのに、幸斗は私の席に来た。
「朝、話せなかったから。あの」
「も、もう授業始まるよ!今から話とかバカじゃないの?あとでにして。」
まだ話さないで。お願いだから。
「お、おう。悪い。じゃあ、また後で。」
「うん。」
少しでも話を聞くのを引き延ばしたかった。
聞きたくない。そんな話、聞きたくない。
お願いしないで。他をあたって。
授業中、何を話されるんだろうかと、そればかり気にしていた。
前に相談を受けたときには、
“話したいけど話せない”
“連絡先が欲しい”
“どんな人がタイプなんだろう”
“好きなものってなんだろう”
とか、とにかくみてわかるように積極的ではなく、ヘタレなのだ。