それは、人間観察だ。

 第三者から客観的になることで、人の行動や思考が見えるように分かってきたのだ。よって、よく聞き上手と言われるようになった。悩み事などを話されると、日々の経験から客観的な立場であらゆる状況に置き換えることができる。とても参考になるらしい。相談相手となるのは、受動的な人間だからこそ成り立つものである。


 親しい友人からは恋愛についての相談が多い。
 人の心理的な部分で回答するのは容易いが、“愛”について返すのは、俺にもちょいと難易度が高かった。
 
 そもそも、そんなものはフィクションの世界のみだとすら思っており、まともに信じてはいないのだから。これが俺が嫌悪感を持つ理由。
 

「<{“愛”}>」
 

 見えないそれを、なぜ人は信じることができ、本気になれるのであろう。
 
 俺にとっては宇宙人や幽霊と同じ分野に並ぶ、都市伝説と一緒である。
 
 別に女性が嫌いとか好きになれないとかではない。
 しかし人間は、
 人生は、
 なるべくしてなるものだと思っている。
 
 生きていれば出会い、
 惹かれあい、
 共に過ごす。
 幸せな人生には俺も賛成である。


 だが、本物の愛という概念はなんだが胡散臭く感じてしまうのだ。