このままでは俺が、まるで根暗な嫌味な奴になってしまうな。突然だが軽く、自己紹介をしておこう。

 
 名前は白澤想司(しらさわ そうじ)。年齢は二十歳の大学生である。
 
 誰にも気を配ることができ、笑顔も絶やすことなく、上手に関係を保つ、友達たくさんの頼れる男……
 ――だったのも、大学入りたての頃だけ。
 
 当時は周りに合わせようと必死であったが、偽物の自分を作りそれを演じるのは楽じゃないし、好きじゃない。一度自分らしい自分を見つけてしまうと、どうしてもそこから抜け出せなくなってしまうものだ。
 
 そんな今の自分は、平凡中の平凡に過ごす、陰に潜んでいるかのような生活を送っている。何事も安全に、何事も起きないように。
 常に変化がある生活は嫌いではないが、何も気にしないでおとなしく過ごす今は、特に嫌いじゃない。
 他人から誘われることがなければ決して食事や飲みには行かないし、大勢で集まるイベントがあっても俺から動くことはない。

 完全な受動人間に、

 簡単にいえばつまらない人間になってしまったということだ。
 出かける先も、遊ぶ予算も、一緒にいる友達も、すべて自分の中で決まっているのだから。
 
 しかしこんな人間になって一つ、得意になったことがある。