♪side:未咲の手紙

『樋口君へ。
私はきっと樋口君のことが好きなんだと思う。思うっていうか、好き。でも私のこの声で伝えられないのが少し寂しい。樋口君って私の声知らないよね。だって、聞こえないんだもんね。言っても届かないならいっそ伝えないで見つめ続けようかなとか思ったりもしてた。だって結ばれない赤い糸なら小指に繋がってる意味無いもんね。辛いよ。
結局なんにも伝えないまま卒業かぁって思ったけど、やっぱやだ。だからとても不本意だけどこういう形で伝えさせてもらった。樋口君の目は私を見てくれないとしても私はずっと見てたの。翼ちゃんを見てる樋口君は嬉しそうだった。樋口君を見てる私も誰かから見たら嬉しそうだったのかな。分かんないや。でも多分、そうだったと思う。
うん。言いたいことは言えたかな。出来れば返事はほしいけど、まぁ答えはわかってるから返事は無くてもいいよ。長くなってごめんね。じゃあね。元気でね。

雪乃原未咲』