「何かにジャレていて、その中に落ちたようじゃのう」
 いつの間にか側にやってきたネコモリサマが、事も無げに呟く。
「知ってたんですか!?」
「まぁ、そうじゃのう」
 酷い、酷いよ。何て意地悪なんだろう。ネコモリサマ。
 思いっきりの眼力で睨みつける。
「そうじゃのう。お主の妹を、無事に連れ戻してこれたならば、願いについて少しは
考えてやってもよいのう」

 ネコモリサマが馬鹿にしたように顔で、追い打ちの言葉を発する。
 悔しい。私は、こんなに一生懸命なのに。涙が滲んできた。
 でも、泣いてる場合じゃない。
 何とか翠を助けないと。
 でも、どうやって、翠が居るあの場所に行けばいいんだろう?

 そうだ。さっき、ネコモリサマは、翠はその世界に落ちた、と言っていた。
 翠が行けたのなら…。
 私は、直ぐに覚悟を決めると、次の瞬間、目の前の水の流れの中に飛び込んだ。