ネコモリイサマと出会った超次元の世界に戻ってきた。
 ここが、ネコモリサマの隠れ家だったんだ。
 翠が私の足にじゃれついてくる。
「ありがとう、翠。翠のおかげで戻ってこれた」
 翠を抱き上げてほお擦りをする。
 翠がこそばゆいような顔をしながら、ミャァと鳴く。

「あっ。そういえば、三笠君は?」
 辺りを捜す。しかし、見渡すかぎりの白い草原で人の姿は見つけられない。
 ゥゥァァアー。
 頭上から、絶叫が聞こえてきた。
 咄嗟に身をかわす。
 ドサツ。
 という音とともに、さっきまで私が立っていた場所に、三笠君が降ってきた。
「イッター」
「大丈夫? 三笠君」
「平気、平気」
 私とおなじように三笠君が、お尻をさすりながら立ち上がる。

 三笠君は、辺りの景色を見渡す。
「ここがネコモリイサマの隠れ家? すごいな本当に、こんな所があったんだ」
 三笠君の感心は、すぐに超次元の世界に移ったようだ。
 白い空を見上げたり、白い草を調べて見たりしている。
 翠も、ここに来るのは初めてなので、そこかしこ首を突っ込み匂いを嗅いでいる。